コイノウタ (ページ43)

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かささぎの渡せる橋におく霜のページ43

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Aが大阪から地方に異動になり、俺も東京が多い今、なかなか会えん。

「寂しない？」

「織姫と彦星は1年に1回しか会えんから、それを思えば平気かな」

七夕生まれのAらしい答え。

微笑んだAを抱きしめると、突然

「星、見に行かん？」

「今？寒いで？」

「大丈夫、カイロあるし」

Aの言うことには付き合ってまう。

甘いんよな、Aに。

「は〜、ってついやりたくなっちゃうね」

「ふは。白いのわかっとるのにな」

休みに東京まで出て来てくれたAと、夜なのに明るい道を手を繋いで目的地へ向かう。

「都内にも星が綺麗に見える場所あるんやね」

「俺も知らんかった。見えるとええね」

「うん！」

「え、綺麗！」

「ほんま、結構見えとるやん」

ネットで調べた都内の星空スポットは案外いい感じで、Aは嬉しそうに空を見上げとる。

「首痛めるんちゃう？」

「もう既に痛い」

首を押えて笑う姿も可愛い。

「ずっとこうやって将企くんとのんびり色んな景色を見られたらなぁ…」

「見ような、いつまでも」

独り言のつもりやったらしく、俺の言葉に驚いた表情を見せる。

喜ぶ顔、びっくりした顔、怒った顔。

とにかく豊かな表情は見とって飽きん。

「ほんとに？」

「ほんまに」

俺を見て照れ臭そうに笑って、空に視線を戻したけど繋がっとる手の力が少し強くなった。

「流れ星、見えたりしんかな？」

「…流れ星よりAを抱きたい欲が勝っとる場合はどうすればいい？」

「将企くんの辞書にロマンチック、とかないの？」

「欲を満たすのは大事やで」

「…冷えてきたし、あっため合いますか」

繋いだ手を離して腕を絡めもう一度繋がる手。

見上げてくるAに思わず口角が上がる。

「なん、Aも乗り気やん」

「星、見に着いて来てくれたから、そのお礼ですー」

「上からやなぁ。まぁそんな事言えるの今だけやけど」

明日の仕事は昼からやし、夜が明けるまで2人の時間を楽しむとしますか。

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