コイノウタ (ページ26)

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花ぞ昔の香に匂ひけるページ26

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『懐かしい〜』

長期連休が出来て、久しぶりに地元に戻った。

実家を出て通学路を歩き、校舎を眺める。

中学のグラウンドはサッカー部だった彼、将企くんの姿を見るために自分の部活を抜け出してたっけ。

そんな思い出を振り返って、心がむず痒くなる。

『この梅も変わらない』

将企くんの家と私の家への別れ道に立つ、梅の木。
人がいなかったら、ここでバイバイのハグをして…

将企くんの優しい香りに包まれると1日の疲れも癒されたなぁ

『綺麗になってる』

ここの公園は…

私が将企くんに別れを告げた場所。

嫌いになったんじゃない。

夢を叶える為に勉強を頑張ろうと思った時、将企くんとの時間が取れないのが辛いから、、いっそのこと別れた方がいいって。
　

そのことを伝えたら

「ほんまは別れたくないけどそう言うなら…
　Aのこと応援するのはええ？」

『うん。ありがとう』

将企くんは私のわがままに納得して、応援するとまで言ってくれた。優しさと別れる悲しさで感情が分からなくなって、沢山泣いて、、

辛い時は無意識に将企くんの優しい香りを探してた。

今もたまに、あの優しさに包まれたくなる。

実家の門を開けた時、声をかけられた。

「A！帰っとったん？」

『達也〜久しぶりにまとまった休み貰ったから」

隣の家に住んでたからよく遊んだし、将企くんと仲良くなれたのは達也のおかげだった。

「今日何人か帰ってくる言うてたからみんなで飯行かん？」

『行きたい！行こうよ』

「じゃあ後で連絡するな」

『うん、お願い』

ゆっくりしてると、LINEが鳴る。

達也17時半に梅の木集合

誰が来るのか、楽しみだなぁ〜

青々した梅の木の前で空を眺めていると、探していた、あの優しい香りが漂ってくる。

将企くんの香りがする

「A」

大好きな声に呼ばれた気がして、声の方に顔を向ける。

「久しぶり」

卒業してから会わずにいた、

最近は画面越しで見かけていた

大好きな将企くんの姿。

涙のせいでその姿がよく見えずにいると、ふわっと優しい香りに包まれた。

「久しぶりに会ったんやから、笑顔が見たい」

耳元で聞こえる、大好きな声

あの頃と変わらない、優しい香り

私の気持ちも変わらずにいる

『好き、大好き、、』

「俺も。ずっと忘れられんかった」

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