コイノウタ (ページ25)

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あまりてなどか人の恋しきページ25

「盛山さん盛山さん！」

「ん？」

「助手席希望してもいいですか？」

「逆に俺の隣でええの？」

「盛山さんとドライブ楽しそうですもん！」

東京で仕事が続くなか、真剣に付き合いたい後輩・A と今日明日と収録が同じで密かに喜んどったのに

休憩中モリシが「今日ドライブする」って言うたらAはワクワクした表情で

いわゆるドライブデート、を自ら申し出た。

翌日、楽屋に入ってきて俺の顔を見るなり

「ごめん」

と謝ってくる大男。

「何が」

「あ、いや、Aとドライブしてもうたから」

俺そんな不機嫌な顔しとった？

収録が終わり、まだ東京で仕事があるモリシを置いてタクシーで品川へ。荷物を抱えて降りると後ろについたタクシーの中から俺に向かって手を振る、

「Aやん」

「偶然ですね」

ニコニコのA(めっちゃ可愛い)と改札に向かう。

「あの、リリーさんが嫌じゃなければお隣、いいです？」

思わぬ提案に驚きつつ「ええよ」と答えると俺のチケットを見て

「席変えて貰います！」

と窓口へと向かって行った。

「乾杯」

「お疲れ様でした」

ビールを飲みながらたわいもない話をする。ラッキーやな、2時間半の移動もAが隣やとこんなに気分がいい。

「そういや、今度のライブやけど」

マネージャーからのLINEに返信をして、話かけるけど返事がない。顔を見ると今にも瞼がくっつきそう。

「眠いん？」

「すみません、なんでしたっけ？」

「肩貸したるよ」

無理矢理目を開けて話そうとするから、思い切って肩を抱き寄せてみると

「すみません、ありがとうございます」

と素直に俺の肩に頭を乗せた。絶対に断られると思ってやったせいで、心臓が高鳴る。

読書をしようと小説を開くもAの寝息が耳に入ってきて集中できん。

俺やなくても、隣の席に来たり、肩を貸すと言われたら素直に頭を預けてしまうんやろうか…

あかん！もやもやしてきた！

気持ちを堪えとると、右腕が暖かくなって見てみる。

右腕がAの両腕に抱かれて…

あかん、我慢しろ、俺！

「もうすぐやで」

肩を優しく揺すると「んっ」という色気ある声を上げてまたドキッとする。

「あ、すみません肩！え、やだ腕も！」

目を開けて状況を把握して真っ赤になって謝る。

「ええよ、最高の移動やった」

「もうっ！」

今回は耐えたけど次はもう無理や、

こんなにもAのことが愛おしい