#119 ページ29
…
錦「章ちゃん、最近どう？」
大「どうって…別に普通……」
錦「普通なん？」
大「うん」
錦「よく笑うやろ」
大「うん」
錦「ずっと一緒におるんやろ？」
大「うん」
錦「…幸せそう？」
大「…」
咄嗟に頷きかけたけど、最近のヤスはどことなく空元気。
錦「…そこは頷けよ」
呆れたように亮ちゃんは笑う。
大「…なんか、ずっと笑ってる。もうちょっと怒ってもいいと思うねんけど。」
錦「それが章ちゃんであって、章ちゃんじゃないからな」
大「？」
錦「ほら、章ちゃん。ちっこい時に両親亡くして俺んとこ来たやん？
あれから、1回だけ。たった1回泣いただけでな？
すぐ大人になってもてん。」
大「…大人……」
錦「そ、
だから直ぐに自分の気持ち抑え込んでまうし、
嫌なことあっても矛先自分に向けてまう癖に
他人にそれを気づかせへん。」
大「……」
錦「な、狡いやろ？
俺今まで全然気づいてあげられへんかったけど、
ちょっと離れてみてやっと見えた。
あと、もう一個。
実はな、章ちゃん信仰心めっちゃ強いねん。
この人って決めたら、一途やし、絶対にその人の意見以外信じへん。
そのくせ心配性で束縛が強い。
だから、
大倉、お前絶対に道外すなよ。
今の章ちゃんの神様は大倉で、
大倉がこうやって言うたらあいつ真っ直ぐ着いていくで」
亮ちゃんの鋭い目は、「お前に任せるけど、章ちゃんになんかあったら、分かってるやろな？」と訴えかけてくるような目だった。
大「うん…わかった」
こんなことを言われても、まだ俺は迷ってる。
俺の事を、言うか言わないかをーーー
…
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作者名：ゆうか | 作成日時：2020年4月7日 10時
