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偽りだらけの関係に終止符を#11 ページ15

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息苦しいほど、
重たい空気。




アイツじゃなくて俺にしてよ、
この部屋で祐希がこぼしたその言葉は
酷く笑えない冗談。




「…な、に言ってんの急に」

「え?真剣な話」





祐希と、洸史と、私と。
仲が良かったはずの3人は、
私と洸史が付き合い始めてから
少しずつおかしくなっていって。




「……祐希の事、そんな風に見てない」

「ちゃんと目見て言えば?」




じりじりと詰め寄るようなその言葉に、
捕まればきっともう逃げられない。



「…前みたいに戻れなくなっても」

「いいよ、別に」




どうでもいい、
祐希はそう吐き捨てた。





「どうでも、よくなんてないよ」



どうでもいい、なんて。
まるでふざけてるみたいに。



「Aはどう思ってんの」

「……私は、」



3人でいるのが楽しかった。
洸史から告白された時も嬉しかったし、
祐希のその気持ちにも
変わってく私の気持ちにも
気付かないままでいたかった。




「ねぇ、俺の勘違い?」



いつもと変わらないその表情の
瞳の奥は笑ってなくて。



「……意味、わかんない」



私が今押し殺してる感情と、
祐希の目を見れない理由。



「へぇ、」


きっと何もかも、
祐希には透けて見えてる。



「……ごめん、帰る」



耐えられなくなって
立ち上がろうとしたら、
逃げようとした私の右手は
祐希によって捕まって。



「……や、」




無言で絡められた右手から
身体中の力が、抜けた。



そのまま祐希に抱き寄せられて
あっさりと抱きしめられる自分が、
たまらなく嫌なのに。





「好きだよ」




そのひとことで、こんなにも。




「……そんなこと、今更言われたって」



もう全部、
無かったことにしたい。
誰も傷付けたくないし、
前みたいに笑いたいのに。



祐希の肩を押し返した。
そして目が合えば、
自分の顔が歪むのがわかる。
それなのに、




「……そそるわ、それ」




そんな言葉と共に重ねられた、唇。




シンとした部屋で行われるその行為は
火傷しそうなくらい熱く、
何度も何度も重なって。




「も、やだ、」




脳みそがドロドロに、
とろけそう。




「…嫌なら、拒んだら?」



そう呆れたように笑って、言うの。
それはずっと見ないフリしてた、
私の知らない祐希の部分。
何かは音を立てて崩れていって
私は身も、心も全て、




(それは頭の先から足先まで、痺れるような好きという気持ち)
(最低なのは私だと、わかってるけど拒めなかった)

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まな - いつもお話楽しみに読ませて頂いています!初恋の続編的なのを出来たら読みたいです!これからも頑張ってくださいm(_ _)m (2022年11月22日 17時) (レス) id: fb95b59a3c (このIDを非表示/違反報告)
mi mi mi - 星野将希さん» 一作目から見てくださっているのですね。とても嬉しいです。先生シリーズもまた更新しますね。ありがとうございます^_^! (2018年2月2日 1時) (レス) id: 8be4045229 (このIDを非表示/違反報告)
星野将希(プロフ) - はじめまして、シリーズ一作目から読ませて頂いています。mi mi miさんの文体がすごく好きです。特に先生シリーズ?(1487:生徒、夢主:先生)がお気に入りです!これからも更新頑張ってください。応援してます! (2018年1月31日 12時) (携帯から) (レス) id: 2e2dbe8a41 (このIDを非表示/違反報告)
mi mi mi - 南さん» そう言っていただけるととってもとっても励みになります。これからもよろしくお願いします(*^_^*) (2018年1月16日 4時) (レス) id: 8be4045229 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - mi mi mi大好きです! (2018年1月13日 20時) (レス) id: 20552de2df (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mi mi mi | 作成日時:2017年10月12日 23時

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