4章2話 両親という人間 ページ26
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それに伴って、見えにくかった｢父｣という人間も見えてきた。
冷酷で利己的、頭の回転が速く、誰もその行先を阻むことができない。
女がやや苦手だが、聡明で努力家な母の事は愛している。
築き上げた｢ベリーアー｣の名を決して廃れさせぬよう、彼は後継に私を据えるしか無くなっていた。
彼は、未だ来ぬ老化の日の訪れを、自分という人間が腐るその日の訪れを、今か今かと、怯えている。
｢俺が死んだら、お前らも、この組もおしまいだ｣
と、いつか父は、組の幹部の男達と酒を飲みながら、唸るように呟いていた。
統率力、思考力、戦闘力、人脈力──どの面においても努力を欠かさず、常に最善を選択してきた父だ。
その積み上げた結晶が、自分の死後とはいえ、バラバラと勿体なく崩れていくことに耐えられないのだろう。
｢俺は、娘を愛していないのか？｣と、父は苦しげな顔で、同界隈の友人に問いかけていたことがある。
組を大きくし、守り、維持する過程において、私が｢必要なモノ｣である事には、きっと変わりはない。
しかし父は、私の事をきちんと、｢娘｣だと認識していたのだ。
しかし、抱える物が、守りたいものが多すぎた彼は、強欲であった彼は、間違えてしまった。
──私の事を道具としてしか見ていないと思っていた｢父親という立場の男｣は、いつしか｢父親｣になった。
ただただ死んで欲しかっただけの彼を知ってしまったことで、私は｢この父親と幸せな家族になりたい｣、と感じるようになったのだ。
もちろん、それでも母の事は苦手だった。父の事は嫌いだった。私たちが｢ただの家族｣になった時、私はこの両親を嘲笑うことだろう。
でも、そんな瞬間を心待ちにしている私も居た。いつか演じた女の子のように、母親と商店街で食べ歩きができたなら。
父親と外でボール遊びができたなら。それはどれだけ、幸福な事なのだろうか。
死んだように、他人を演じ続ける自分が嫌だった。
意味もなく、淡々と他人を殺す自分が嫌いだった。
それも昔の話で、今はどれだけ非道な事をしても、見ても、何も感じなくなっている。
自分を守るために、｢何も感じない｣と自分に暗示をかけたからだろうか。
｢何も感じない自分｣から抜け出せなくなったのか、それとも｢何も感じない｣のが本当の私なのか、それすらも分からないのが、どうしようもなく苦痛だ。
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あめ。(プロフ) - 推しは神さん» うああ本当にありがたいお言葉です……！！ イルミとの関係や家の部分は1番心がこもっている部分なので嬉しいです。すごくやる気が出ました……ありがとうございます……！！！ (2021年8月4日 21時) (
レス) id: 9321659db3 (このIDを非表示/違反報告)
推しは神 - とても面白いです！イルミとの関係や家のことなど続きが気になります！！更新頑張ってください！！応援してます！！ (2021年8月3日 17時) (レス) id: d035d348ec (このIDを非表示/違反報告)
あめ。(プロフ) - カナデさん» でたぁー、と一瞬の退場、という文面を見て、思わず笑っちゃいました。笑笑 嬉しいです、ありがとうございます！！ 更新頑張っていきます！ (2021年6月29日 22時) (レス) id: 9321659db3 (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - で、でたぁー！俺じゃなきゃ見逃しちゃうね！！でも一瞬の退場！笑。最近めっちゃハマってます。更新頑張ってください！ (2021年6月29日 16時) (レス) id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
あめ。(プロフ) - 赤とんぼさん» ｱｱｱ凄く嬉しいです……！！ ありがとうございます。更新頑張ります！！ (2021年6月23日 18時) (レス) id: 9321659db3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あめ。 | 作成日時：2021年6月15日 23時
