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末吉の関係 ページ44

Aside
·

バスの中は激混みだ。人口密度が高いせいか、沖田さんとの隙間もほんのちょっと。触れるか触れないか、そんな微妙な距離で、余計に私はドギマギさせられていた。

平安神宮の最寄バス停。ボタンを押して降りる。
バスの出口へと進む沖田さんの髪がさらりと揺れた。本当、羨ましいサラサラヘアーだ。


神宮の中に入り、砂利を踏んで進む。
青空に緑の屋根、赤い社殿。目に鮮やかなカラーだ。おお、と声が漏れる。

『あ、そうだ。おみくじ引きません?』

私はわりとおみくじを引くのが好きだ。あまり引きすぎると運が下がるなんて話を聞いたことがあるけど、なんとなく知り合いでもないモノからアドバイスをもらうというのは面白くて。
沖田さんは「いいですぜ」と快く承諾してくれた。

「俺、あんまおみくじひいたことなくて。ガキん時、凶がでてからなんか引く気にならないんですよねィ」

小さい時に凶がでたのか。確かにちょっとショックかもしれない。
そういえば、沖田さんはどんな子供だったんだろう。今と同じく、ポーカーフェイスだった…というのは、さすがにないか。でも、満面の笑みではしゃぐキッズ沖田さんというのも想像つきにくい。じゃあ、なんだろう。

『あの、沖田さんって、出身はどちらなんですか?』

どんな子供だったんですか?とは聞きにくいので、彼の過去にまつわる質問をしてみる。

「武州っつー、田舎でさァ。近藤さんと土方とは、その時からの古馴染みなんでィ」

『そうなんですか!』

いつかの近藤さんの笑顔を思い出す。兄弟みたいだ、とあの時思ったけど、実質兄弟のような付き合いをしていたということだろう。納得と驚きが胸を満たす。

棒の入った金属の箱を振る。出てきたのは二十番。数字を社務所の巫女さんに伝え、紙を貰う。

『どう、でした?』

「…凶脱出。末吉でした」

『あ、同じく末吉です』

末吉、とはどう捉えたらいいのか、いちばん微妙だ。凶に近いけど、ギリギリ吉。
もう一度紙に目をやる。自然と、目が《恋愛》の項目に吸い寄せられた。

──《恋愛》深く願えば叶う

深く、願う、とは。
さっきの神社で、やっぱり叶いますように、って願っておけばよかったかも。あれ、でも叶うってなんだろう。叶うの基準ってなんだろう。


「俺、失物でてくるらしいんですけど、なんか無くしたかねィ…?」

『何をなくしたかを、思い出すとか』

…末吉とは、叶う、とは。うーん、やっぱりまだおみくじをひいてアドバイスが欲しい。

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みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます。 (2019年10月25日 23時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - と〜っても面白いです!更新頑張ってください! (2019年10月25日 19時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます!嬉しい限りです。マイペースな更新ですが、これからもよろしくお願いします! (2019年10月19日 18時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - とっても面白いです!無理矢理原作に沿っていなくて,とても読みやすいです!更新頑張ってください! (2019年10月19日 16時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/  
作成日時:2019年8月25日 22時

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