餡蜜の関係 ページ32
沖田side
·
「…いや、やっぱなんでもありやせん」
俺は否定の意味を込めて首を振った。
やめとこう、流石に甘味処の店員に警察が人生相談は、ちょっとアレだ。それに、なんだか俺にだけあたりの強い気がする立花に相談するというのも、屈辱的というか。とにかく、急に話す気が失せて妙に恥ずかしくなってきたので誤魔化しておくことにした。
「なんですか、気になりますよ」
立花は餡蜜をテーブルの上に置き、伝票を持ったまま首を傾げた。
俺は「ほんとになんでもないんで」と答え、餡蜜をスプーンに乗せて口に運んだ。美味い。
立花はまだ何か言いたげにしていたが、ちょうど客が入ってきたからか席から去っていった。
俺とAさんは、本当に奇妙な関係だ。
縁談の多さに辟易して暴走した俺がかけた一言で始まった関係。突飛な始まり方にしてはやけに居心地の良くなってしまった関係。
ふいに夏祭りの日のAさんの姿がぽやんと頭の中に浮かんだ。
夜の下、眩しく見えたその姿。
思い出して、喉の奥がくすぐったくなった。
「…うへえ」
脳内で女のこと思い出してジロジロ考えるなどこれまた自分らしくない。ああ、気持ち悪い。餡蜜を食べて紛らわそうとしたが、余計に甘さが増しただけだった。
新婚旅行は、差し迫ってきている。
かなり不安になってきたぞ、この旅行。
自分の底の見えない無意識が、余計なことをしないよう願うばかりだ。
***
「…ただいま」
『おかえりなさい』
マンションの扉を開ければAさんの声が聞こえた。
昼間考えたことを思い出す。余計な発言しない。ちょっとちゃんと距離を置く。
Aさんにかつて大きいと言われた手を眺めて息をつく。そういやあん時もAさんの手は綺麗だとかへんなこと言っちまったんだっけ。それはもうただただ意味のわからない発言だ。
マジでどうなってんだよ、俺の無意識。いい加減にしてくれよ振り回しやがって。
今日何度責めたかもわからない無意識をもう一度なじって、俺は靴を脱いだ。
『今日はハンバーグです』
食卓に並んでいたのは綺麗な形のハンバーグ。漂う匂いに腹の減りを改めて感じる。
「うまそ」
『沖田さん、美味しそうに食べてくれるので作りがいがありますよ』
「そうですかィ？」
そんな食べ方しているだろうか。隊士たちに言われたこともない。
『はい、少なくとも私にはそう見えます』
「まあ実際Aさんの飯美味いですから」
…今のは違うよな、普通に褒め言葉だよな。
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます。 (2019年10月25日 23時) (
レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - と〜っても面白いです！更新頑張ってください！ (2019年10月25日 19時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます！嬉しい限りです。マイペースな更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (2019年10月19日 18時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - とっても面白いです！無理矢理原作に沿っていなくて，とても読みやすいです！更新頑張ってください！ (2019年10月19日 16時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みるくれーぷあいす | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時：2019年8月25日 22時
