ハ ナ ビ 2 ページ7
Aside
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坂田先生は職員室の扉を開けた。
残っている先生はまばらだ。もともとこの学校で放課後、職員室に残って仕事をする先生は少ない。私の後任として花火大会の見回りになった先生もいる。羨ましい。
『よし!とっとと終わらせて帰りましょう』
只今の時刻は四時半、花火が打ち上がるのが七時半からだから、ぎりぎり間に合うかもしれない。
「へえ、俺の部下は優秀だ。こんなにたくさんの書類を【とっとと】片付けられるとは」
どさり、と私のデスクに置かれた紙の山、山、山。…なんだこれ。
『え?これ全部?』
えげつない、という文字が卒倒するほどの書類の量。思わずあんぐりと口を開けてしまう。
「あと、作らなきゃいけねぇ資料もあったな」
『…坂田先生、こんなになるまでマジで何やってたんですか』
なんでもない事のように言い張る上司。
一体何年経過すればこの量の書類が溜まるんだよ。
「別に、ふつーに仕事してたけど。じゃ、よろしく、優秀な部下」
坂田先生は私の隣のデスクにどすっと座り、漫画雑誌を読み始める。反射的に私はそれを取り上げ、窓を開けて投げ捨てた。
「うぉっ、何すんだお前!」
『何すんだはこっちのセリフです!押し付けないでください、あなたもやるの!』
慌てて窓から下を見下ろす坂田先生。ふん、部下に全部やらせようとするからこうなるんだ。自分の仕事でしょうが。
「池に落ちてんだけど、ちょっと責任取ってよ!?ギンタマン最終回間際なのー!」
『知るか!』
私は書類の半分を坂田先生のデスクに置く。机の上はやけに散らばっていた。でもほとんどがお菓子のゴミとか、そういうのばっかだ。
「チッ、仕方ねーな。ったくよォ、なんで俺がこんなんやらなきゃいけねーんだよー」
『自分でやったことでしょう』
「いるいるー、そんな部下。責任の一端は部下にもあるのに」
『ないんですけど、私巻き添えなんですけど』
窓をガラガラと閉め、渋々椅子に座る坂田先生。ようやくやる気になってくれたようだ。
何人かの先輩先生達が頑張ってと声をかけてきてくれた。彼らはこれから見回りだ。いいなあ花火大会、これじゃ絶望的だ。絶対間に合わない。
***
「にしても、そんなに花火大会人気なのか」
無言で書類の片付けを始めて早一時間半。一向に量は減らない。なにこれ、無限地獄ですか。
『人気ですよ、わざわざ他県からくる人もいるらしくて。結構混んでます』
「うちのクラスのカップル達も行ったかなあ」
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 氷華さん» ありがとうございます!嬉しい限りです! (2019年12月25日 16時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - 神威君ーーーーーーーーー! この小説いいね♪ (2019年12月25日 12時) (レス) id: e5c89771f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作成日時:2019年8月27日 1時