ツ ヅ キ 4 ページ30
Aside
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『ほんと、漫画みたいな出会い方だったね。あの時は全然喋んなかったけど』
ここでぶつかった時は、互いに謝って立ち去っただけだ。顔見知りのしての記憶が更新された程度。ちゃんと話したのは、その後の部活の仮入部の時だった。
「でもあん時ぶつかってなかったら」
少し先に進んでしまったみんなに追いつくように、私たちは歩を早める。
「多分、部活ん時も話さなかっただろ」
ああ、それはそうかもしれない。廊下でぶつかったからこそ、ちょっとお互いの存在が分かったらこそ、そのあと関係が築けたのだ、きっと。
『うん、そうかも』
「…なら、てめぇがここで転んでくれてよかった」
…ん?
私が意味を聞き返す前に、彼は更に歩くスピードを速め、完全にみんなに追いついていった。
さっきの言葉の、意味。転んでぶつかったから出会えた、話せた。転んでくれてよかった。つまり__
出会ってくれて、よかったと、言いたいの、だろうか。
『なんだそれ』
思わず笑った。これで想像が外れていたら恥ずいこと極まりない。でももし、本当だったら、
この上なく、嬉しいことだ。
相変わらず、十四郎は器用なのか不器用なのかわからない、のである。
***
「よー、久しぶり」
坂田銀八、在学当時の担任。
同窓会の会場を3年Z組の教室に決めた時から、元担任を招待するのは決まっていたそうだ。本当は当時いた副担任の女の先生も呼びたかったんだけど、どうしても都合がつかなかったと新八が言っていた。
教室に入った途端、教卓で出迎えてくれた銀八の姿に、場は大きく沸いた。
「マジで久しぶりじゃん」
「まだ教師やれてるんだー」
「天パ全然治ってないね」
「銀ちゃん!老けた?」
「…お前ら相変わらずグッサグサくんのな、感動の再会だぞ?もうちょい感極まってくれよ」
顔をかすかに歪ませる銀八。ぬんと姿を現した猿飛が「私はどんな先生でも受け入れるわ!」と高らかに叫び、銀八が「お前はむしろ落ち着いてくれ」と突っ込んでみんなが笑う。
その姿もやり取りも、昔と何ら変わらない。
どうせなら昔と同じ席に座ろうと、内側向きにくっつけられた三列の机を眺めて誰かが発言して、当時の席に行くことになった。
「うわあ、懐かしい。Aが後ろの席だったわよね?」
『そうそう、それで隣が…』
そこで、あることに気づく。
「カップル、隣同士の席なんですね」
新八が少しにやつきながら言ってきて、私は思わず隣の十四郎と顔を見合わせた。
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 氷華さん» ありがとうございます!嬉しい限りです! (2019年12月25日 16時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - 神威君ーーーーーーーーー! この小説いいね♪ (2019年12月25日 12時) (レス) id: e5c89771f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作成日時:2019年8月27日 1時