ひだまりとあお２【銀魂短編集】 (ページ17)

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ネオン 2 ページ17

Aside
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「お疲れ様、ちょっとお手洗い行ってくるけど、大丈夫？」

店長がふらりと出てきて私に尋ねてきた。
この書店はショッピングモールの一部に属している。店の中にはトイレがないので、ショッピングモール内のトイレに行くのだろう。
きっと、もう店に来る人はいないし、大丈夫だ。

『はい。平気です』

「じゃ、ごめんね。すぐに戻ってくるから」

一応、バイト店員がいる時は、社員である店長は店内にいなければならないというルールがあるため、店長は申し訳なさそうに、早足で店を出ていった。まあ、前もこんな感じのことしてたけど。

店を去った店長と入れ替わるように、はたきを片手にもった桂さんがまた私の前を通り、奥の棚に向かっていった。ジョウイガジョイ、とかなんとか、謎のラップを口ずさみながら。
やっぱり変な人だ。こんなぎりぎりまではたきを持って仕事をしようとしてるのは尊敬に値するけど。私は、このシフト終了間近の時間、なるべくレジに棒立ちして時間をつぶすのに専念する。

落ち着いたピアノのＢＧＭが店内に流れている。書店でよく聞くような静かな音楽に、思わずちょっと眠気を誘われた。
そういえば、とどうでもいいことを思いつく。
桂さんは高三、受験生のはずだ。猿飛さんと同じ状況にあるけど、こんなに真面目にバイトに勤しんでいて大丈夫なのだろうか。私よりシフト多かったよな。

なんて、うとうとしながら赤の他人の心配をしていた自分を殴りたい。

「全くもう！信じられないわ！」

どすどすとものすごい勢いで入ってきた人に、私は目を醒ました。
店に入ってきた女の人は、派手なヒョウ柄のトレーナーにストライプのスカート、ぐるんぐるんの髪の毛にきついメイクで。勢いそのままに私のいるレジの台を叩いてきた。

「ちょっと、本屋としてどうかしてるわよ！なんとかして！」

な、なんだなんだ、いきなり。
ばんばんと台を叩くその勢いに、私は呆気にとられた。

『な、何か問題がございましたでしょうか』

「なにかってねえ！これが問題じゃなけりゃなんなのよ！」

女の人は大きなかごバッグから一冊の本を取り出し、ページをめくる。

「この前ここで買った本、ページが破れてるのよ！？」

いやいやいやいや、と私は内心首を振る。
この前(・・・)、うち(・・)で買った？嘘でしょ。表紙はボロボロだし、ページは黄ばんでるし、何度もめくった跡があるし。明らかに古いものだ。この店では古本は売ってない。絶対違う。