5 ページ14
銀時side
·
『わたしも、就活のストレスを銀時に八つ当たりしちゃって。銀時だって、疲れてるのに…』
この前はごめん、と頭を下げて俺の部屋にやってきたA。Aの突然の来訪に驚いたが、謝罪と弁明を含んだAの話を要約すると。
──俺とヨリを戻したい、というそうだ。
『あんなに一方的に別れて、今更だって怒ってると思う。でも、やっぱり、銀時と一緒にいたいなって』
だから、とAは改めてお願いします、と頭を下げた。
俺は慌てて「顔上げろよ」と告げる。
「突然振られちまったのには驚いたけどよ。俺も、未練タラタラだったし、な？」
『…ありがとう！』
彼女との復縁が、あっさり成り立った。
イマキヨさん達は、ぱちぱちと拍手をしている。もしや、これが幸運か。今までよくわからない行動しかしていなかった彼らに、心から感謝できる。
『あ、あのね、あと、ひとつ、提案なんだけど』
「おう」
『銀時さえよければ…一緒に住まない？』
スム、という言葉が漢字に変換された直後、俺は「えええ！」と叫んだ。
ま、まさかの同棲ルート！？幸運パネぇ！
『結構前から、考えてたんだ。だとしたら、銀時の住んでるこの部屋も手狭だし、わたし実家だし。新しいマンションでも借りたいな』
いつにも増して積極的な彼女に、俺は夢見心地のまま「そうだな」と答える。
なんつーラッキー。このままゴールインまで一直線？とほくほく考えつつ、ぼんやりと壁に目をやる。
３、イマキヨさんの前で引越しの話をしない
いつか自分が紙に書いたルールが、目に入った。
…あっ、これ、やべえ！
「あぁぁぁ悪い！俺これから用事あんの忘れてた、ほんと申し訳ないけど、ほら、その話はまた今度！」
『えっ？う、うん…』
Aの背中を押し、半ば追い出すようにして俺の部屋から送りだす。まずいまずい、イマキヨさんのルール、忘れてた。あれはセーフなのか？そうだなって、言っただけだよな？
恐る恐る玄関からリビングに戻ると、イマキヨさんは増えていないことが確認できた。
「ふー、マジ焦った…」
素知らぬ顔で座り続けているイマキヨさん達に安堵して、俺は改めてお詫びの連絡をAにすることにした。
***
今日は、会社の面接の日だ。
大手企業の、一次面接。もしこれが受かれば、就活は大成功ともいえる。
俺は、会社の入った大きなビルのトイレで用を足し、手を洗っていた。
上手くやれるはずだ、坂田銀時。
自分に気合をいれようと、頬を叩いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みるくれーぷあいす(プロフ) - ちぃなさん» ありがとうございます！これからも楽しんでいただけると嬉しいです。 (2019年10月30日 16時) (
レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
ちぃな - ホラー好きなので嬉しいです！更新楽しみにしてます。 (2019年10月29日 14時) (レス) id: 43ae00df60 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 綾葉メグさん» ありがとうございます！マイペースな更新ですが、これからもよろしくお願いします。 (2019年10月27日 17時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
綾葉メグ(プロフ) - 面白いです！更新楽しみにしてます！ (2019年10月27日 15時) (レス) id: fe3feae032 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みるくれーぷあいす | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時：2019年10月15日 1時
