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銀時side
·

警官はボソリと呟く。

「イマキヨさんか…」

「いまきよ?」

なんだそのイマキヨさんって。
警官は黒頭巾の男のいるリビングに向かって両手を合わせた。いきなり、どうしたんだ。
展開についていけない俺が男と警官を交互に見ていると、警官は「頑張りなさい」と俺の方を叩いて出ていった。
…出ていった?

「ちょ、え!?頑張りなさい、じゃねーよ!どうにかしろよこれ!」

我関せず、とポテチを頬張る男。
何をどう頑張るっつぅんだ、こんな不審者いるのにスルーか!?
警官を追いかけてマンションの共用廊下に出るも、もう既に警官はいなかった。

「どうなってんだ…」

最悪、最悪だ。


***


「それ、イマキヨさんですよ」

「イマキヨさん?」

翌日、大学の単位を何とかとるべく出た授業後の、食堂。
後輩である新八と神楽をとっ捕まえ、俺は昨日の奇怪な話を一から十まで語った。

「銀ちゃんパイセン、東京から来たんだっけカ?この辺では有名な都市伝説アルよ」

「都市伝説ぅ?」

全く先輩を敬う気のない神楽の言葉に、俺は眉をひそめた。

「はい、いわば現代版の座敷わらしです」

新八はメガネをずりあげ、説明を始めた。
イマキヨさん──黒頭巾の男は、このあたりでは有名な都市伝説的存在。
突然、独身の男のいる家に現れ、住み着く。住み着いた相手に、座敷わらしと同じく幸せをもたらすのだという。

「基本的にすごくラッキーな存在とされてて。その部屋の持ち主以外には姿が見えないらしいんですけど」

「…だから話が噛み合わなかったのか」

昨日の警官に、いくら不審者がいると言っても通じなかったわけ。見えていなかったのだ。

「でも、イマキヨさんには四つのルールがあるんです」

1、イマキヨさんを無理やり追い出さない
2、イマキヨさんを傷つけない
3、イマキヨさんの前で引越しの話をしない
4、イマキヨさんに謝らない

「変なルールだな」

昨日、警官が帰ってから、俺はあの黒頭巾男に近づけず、洗面所で震えながら一夜を明かした。追い出そうかとも考えたのだが、不気味すぎて近づけなかった。今思えばそれは正解だったようだ。
にしても、本当にそんな存在がいるのか、しかも俺の家に。

「破ると大変なことになるとか」

「何ネ、その大変なことって」

神楽が興味津々といった様子で尋ねてくる。俺もそこは気になったが、新八も知らないようで、「さあ…?近所に都市伝説に詳しい人がいるので、聞いてみますね」と首を傾げた。

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みるくれーぷあいす(プロフ) - ちぃなさん» ありがとうございます!これからも楽しんでいただけると嬉しいです。 (2019年10月30日 16時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
ちぃな - ホラー好きなので嬉しいです!更新楽しみにしてます。 (2019年10月29日 14時) (レス) id: 43ae00df60 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 綾葉メグさん» ありがとうございます!マイペースな更新ですが、これからもよろしくお願いします。 (2019年10月27日 17時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
綾葉メグ(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年10月27日 15時) (レス) id: fe3feae032 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/  
作成日時:2019年10月15日 1時

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