コ コ ロ 2 ページ32
Aside
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「勘違いね」
『…やっぱそう思う?』
土曜日のファミリーレストランの混み具合は異様だ。その一角で腰を下ろし、オレンジジュースを啜る。
「あいつが恋愛の定義を知ってるかどうかすら最早怪しいでしょ」
目の前でミートソースパスタをぐるぐるとフォークにまきつけながらく言い放つ今井信女。相変わらずのクール。私としてはあんなに一緒にいる佐々木異三郎氏となぜくっつかないのが不思議だ。いや、そういう関係じゃないっていうのは知ってるんだけど。
『やっぱり?のぶたすもそう思う?』
「いい加減その呼び方やめてくれないかしら」
流れる姫カットの長髪。どうでもいいけど3年Z組の顔面偏差値はやけに高い。今目の前にいるのぶたす、チャイナちゃんにお妙ちゃん、阿音百音姉妹にさっちゃんに…とあげ出せばキリがない。そしてイケメン度も高い。だから、平々凡々の私が埋もれるのは当然っちゃ当然なんだけど。
『やーだね。でさ、どこで間違えたかな?』
「…あなたが桂小太郎を好きになった時点でもう既に」
『ちょ、それはやばいって』
このひと真顔で言うから怖い。
「本当、なんであんな変人に惚れたの?」
まあうちのクラスの人はみんな変わってるけど、とのぶたすはつけたした。確かに皆個性豊かだけど、桂くんの変わりよう、というか狂乱のバカ貴公子っぷりは群を抜いている。
『わかんないんだよね、気づいたら、かな』
「へえ」
私はカルボナーラを頬張りながらかんがえる。
本当に、気がついたらだった。だから付き合おうって言ってオーケー貰った時の嬉しさもすごく大きくて、でも今は…
『あああー』
「…デートでもしてみたら?」
『デート?』
そう、と頷くのぶたす。いつの間にかパスタを平らげ、メニューを開いてデザートを吟味している。ここドーナツないのがダメね、なんて呟いた。
「映画とかに誘って、雰囲気良くなったところでそれとなく本心聞けばいいじゃない」
そのそれとなくが出来たら苦労してない!
でも、そのデート案はいい。私と桂くん、カレカノっぽいこと一つもしてないし。そもそもそういう関係なのかも怪しいけど。
『うん、ちょっと誘ってみる。…あ、そうだ、帰り本屋寄ってもいい?』
「いいけど。…また漫画買うの?」
『うん、最新刊が出てさ。主人公が超クールなんだよね』
スポーツ系の少年漫画、私は普段全然読まないんだけど、クールな主人公が素敵なのだ。
「…現実の相手は極限ないバカだけど」
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 鈴神さん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます!これからも鈴神さんにそう思っていただけるよう頑張ります!よろしくお願いします。 (2019年8月24日 13時) (レス) id: 0de76de774 (このIDを非表示/違反報告)
鈴神(プロフ) - こんにちは!突然ごめんなさい(汗 作品読ませて頂いたんですが、一人一人の気持ちがとても丁寧に書かれていて一つ一つの話にすごく惹かれました!!ほんとに素敵なお話ばかりなのでこれからも応援してます!頑張ってください!! (2019年8月24日 1時) (レス) id: de3968cf62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作成日時:2019年8月13日 1時