ア サ ヒ 《高杉晋助》 ページ17
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ア サ ヒ
高杉晋助
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高杉side
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あれはきっと、初恋だった。
恋だの愛だの、馬鹿馬鹿しい。世界なんて、脆くて弱いもんだ。自分はその世界を壊せてしまう。何も知らないくせにそう決めつけていた、
随分と青くて痛い頃の恋が、人生で一番純度が高くて、まっさらだった、初恋だった。
『高杉、わたしね』
そういったAにかける言葉があれば、未来は変わっていたのだろうか。初恋は現在も続くものとなっていたのだろうか。
分からない、今あるのは俺が選択してきた過去だけだ。現在は、俺が選んで掴み取ったものだ。
「晋助？」
「…すまねェ、ぼーっとしてた」
珍しいね、ところころ笑うこの女と、俺はこれから生きていくのだ。女の薬指と自分の薬指にはめられた指輪が、それを示している。
「珍しい、晋助がぼんやりしてるなんて」
「お前はいつもぼんやりしてるしな」
ひどー、それが婚約者にいう言葉？と女は言う。ダサいセリフを吐いて指輪を差し出して、現在を作ったのは俺だ。俺が幸せにしなくてはならない女の前で、その女とは違う女との恋を思い出しているなんて、最低だと思う。
それでも、一度巻き戻った記憶は映写機のように、過去を映し出す。
女の瞳越しに、Aとの記憶を思い返した。
***
『高杉くん、日誌お願い』
珍しく教室に出た俺が席で鬼兵隊の奴らとだべっていると、彼女は【学級日誌】とかかれた冊子をさしだしてきた。
「…日誌？」
ぎろり、と彼女を睨む。名前は確か、水橋Aだったな、と思いだす。
『今日、高杉くんとわたしが日直なんだ。高杉くん、日誌やってくれる？』
それ以外のことは私がやるから、と水橋は笑って日誌を差し出した。
「………あァ」
よろしく、じゃあ、と水橋は背を向けて、自分の友人の元に戻っていく。
「晋助様、今日日直なんスか」
「らしいな。俺も初めて知った」
だったら今日教室に出るんじゃなかった。めんどくせえ、と呟く。水橋が渡してきた日誌を見やる。サボっても何も言わないだろう。俺達はそういうことをする、不良だと思われているから。日誌を適当に机の中につっこんだ。
***
『高杉くん…？』
誰もいないと踏んで屋上に行ったのに、そこには先客がいた。
水橋はびっくりした様子で俺を見る。またこいつか、と心の中で舌打ちをした。
放課後に屋上に来る物好きがいるとは。しかも、俺が時々屋上に行くことはそれなりに知られているので、鉢合わせすることはなかった。
「…」
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 鈴神さん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます！これからも鈴神さんにそう思っていただけるよう頑張ります！よろしくお願いします。 (2019年8月24日 13時) (
レス) id: 0de76de774 (このIDを非表示/違反報告)
鈴神(プロフ) - こんにちは！突然ごめんなさい(汗 作品読ませて頂いたんですが、一人一人の気持ちがとても丁寧に書かれていて一つ一つの話にすごく惹かれました！！ほんとに素敵なお話ばかりなのでこれからも応援してます！頑張ってください！！ (2019年8月24日 1時) (レス) id: de3968cf62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みるくれーぷあいす | 作成日時：2019年8月13日 1時
