ケ ー キ 5 ページ15
Aside
·
『嘘…』
そう思うならクラス中の人に尋ねてみなさい、とまで言う妙ちゃん。
そーくんが、私を、恋愛対象として、好きだった。あまりの事実に、開いた口が塞がらない。
『どうしよう』
このままだと、そーくんは私を避ける気がする。きっと、いきなりキスをしたことに気まずさと申し訳なさを感じているだろうね、と九ちゃんも付け足す。
「ねえ、Aちゃん」
妙ちゃんは、まっすぐに私を見た。
「Aちゃんは、沖田くんのこと、どう思ってるの」
私が、そーくんを、どう思っているか。
『私は、』
優しいと思ってるよ、いい幼なじみだよ、と言おうとして、やめた。
本当に、それだけだろうか。
さっき感じたもやもや。そーくんが優しくするのはいいことなのに、なんでか、もやもやした。それに、友達の神楽ちゃんや妙ちゃんや九ちゃんと接する時と違う、胸の暖かさはなんだろう。
『私は…』
それに、気づいたら、そーくんのことを、ずっと考えている。
『もしかしたら、違うのかもしれない』
「違う？なにが？」
『変なんだけど。そーくんが、神楽ちゃんに優しくしてるのは、もやもやする』
目を丸くする九ちゃん。
『なんか、みんなと話す時よりあったかい』
ゆっくりと微笑む妙ちゃん。
『気づいたら、そーくんのこと考えてる』
これって何？と聞く。
二人は満面の笑みになって、答える。
「「それは、恋だよ」」
***
沖田side
·
「はあ…」
やらかした、という言葉では表せない程のやらかし。好きな女に、キスしてしまった。
公園のブランコに座って、またため息をつく。
あの時、優しいと言った彼女に無性に腹が立って、同時に自分にもむかついて、気づいたら体が動いていた。
しかも俺は、呆然とする彼女を置いて、逃げてしまった。最低だ。最低の底辺だ。
「ああ…」
最初に彼女にあったのはいつだっけ、と苦し紛れに考える。
そうだ、幼稚園の時。先生に何を言われてもみんなの輪に加わらず、しゃがみこんでいた俺。
そこに、みんなとかくれんぼをしていた彼女がやってきて、聞いてきたんだ。
『お腹痛いの？』って。とんちんかんは今も変わらないけど、彼女のお陰で、俺も友人と呼べるようなものができた。ぼんやりとしていて見当違いで、どちらかといえば無口な彼女は、そのおおらかさ故か、友達が多かった。
それでも彼女は俺のところに来てくれて。1番の友達として選んでくれて。それが嬉しくて、悔しかった。
ぴりり、とスマホが鳴った。
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 鈴神さん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます！これからも鈴神さんにそう思っていただけるよう頑張ります！よろしくお願いします。 (2019年8月24日 13時) (
レス) id: 0de76de774 (このIDを非表示/違反報告)
鈴神(プロフ) - こんにちは！突然ごめんなさい(汗 作品読ませて頂いたんですが、一人一人の気持ちがとても丁寧に書かれていて一つ一つの話にすごく惹かれました！！ほんとに素敵なお話ばかりなのでこれからも応援してます！頑張ってください！！ (2019年8月24日 1時) (レス) id: de3968cf62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みるくれーぷあいす | 作成日時：2019年8月13日 1時
