ゾルディック家の次男坊 2【HUNTER × HUNTER】

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とんとん、とキルアの背中を一定リズムで叩きながら
精孔を開かない程度の微弱な念でキルアの脳圧を調節し意識を落とさせた


服を着せてやったところでミルキが部屋に入ってくる





「A兄、親父が呼んでる」




『ん、キルアの事見ててあげてね』







丁度良かった。俺も親父と話しかったことあるんだよね





親父の部屋はこの屋敷の一番奥にある
本気を出せばそこまで遠くない距離だがそんな気分でもなく、ゆっくりと歩き続けた




去り際、眠るキルアの意識を見た





『熱を持たない闇人形って』






キルアの意識の中に縫い付けられるように巡っていた概念
イルミ辺りがそう言ったのだろう

必死にその概念をキルアは追い出そうとしている
藻掻いて苦しんで、必死に逃げ出そうと




広い世界が見たい、旅をしたい
自分で決めた道を歩みたい、友達が欲しい





どれもこれも、キルアの立派な"好奇心"はゾルディックという存在に押し潰されている





兄ちゃん一皮剥いちゃおっかな





なんでここまでキルアを気にかけるかって？





そりゃまあ似てるし




あとあいつは俺の身代わりみたいなもんだから







俺が逃げた時





死んだ時、力をなくした時
要は俺がダメだった時の保険






躍起になって作られたもの、それがキルア




言い方悪いけどね





だから両親もキルアは絶対に手放せない、手放す訳に行かない






イルミも、然り





片割れは俺と正反対で好奇心の欠片もなければ物事に興味すら抱かない

何かあったとしても「ふーん」しか言わないし
他人を殺せるか殺せないか。百歩譲って使えるか使えないかくらいでしか見ない、あいつはそういう人間






だが、あいつが唯一執着を見せていた
ただ1つが俺だった




そして俺が家を出た後に、すぐ誕生したのがキルア



今まで俺に向いていた執着が




幼いキルアに向いてしまったんだ






酷い話だが




キルアはこの家で俺ありきのあいつなんだよ






そんなさ、酷いこと
弟にさせられると思う？







『俺だったら無理だなぁ』









せめてもの償い、キルアの人生を10年以上も
縛り付けてしまったのはゾルディックでなく、Aという人間、俺のせいなのだ




なのに、それでもあいつは、1番に俺を慕ってくれる






そんないい子を縛り続ける趣味は俺にはないの




だから、キルア




もう大丈夫だから






俺がキルアを、俺(鎖)から解放してやろう







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