ゾルディック家の次男坊【HUNTER × HUNTER】

19.5 ページ21

本日はキルアの訓練担当


暗殺術は親父やイルミが十分教えている
だから俺は俺のやり方でいつも訓練をする
暗殺術だけ持っててもダメなんだよってね


キルアは本当によくできる子で
6歳の時なんとなくダーツを教えてやったら
あっと言う間に極めちゃってた
本人曰く楽しかったかららしいけど







「ねえA兄？」




『おー？』





俺達は12個離れていて10歳のキルアはまだまだ子供
というのは世間一般的な感想で
ここゾルディック家では10歳ではもう、ね

そう俺がハンターになったのも10歳、だ






「A兄はなんで家出したの？」





『あーパンドラの箱』






久しぶりにその話されると、脳裏で片割れがイラついてるのが過ったよ
乾いた弟の髪を後ろからワシワシと撫でたあと
キルアの体を反転させてお互い向かい合うように座る






『キル？』




「……俺、暗殺もうやだ」





だと思った
もっと前から思ってただろうに
言えるわけないよな


それもそうだよな
だってこの家に生まれて育てられている以上
"殺し"は衣食住に並ぶんだから

朝起きて、服を着て、飯を食って、殺す。んで床に就く



ここまでが暮らし、そう。殺しは暮らし
当たり前、だから殺さないっていうのは無しだし
"殺せない"はもっとアウト

依頼されたら殺す、絶対に、自分が死んでも殺す




イルミを初めとした他の兄弟達と違って
キルアは殺しに対して疑問を抱いたのだろう




"どうして命を終わらせてるんだろうか"って





本当に、俺とキルアはよく似てる
時折思うもん。ガキの頃の俺を見てるみたいだなって









俺以外(他の弟たちは知らんけど)、皆キルアを一人前の殺し屋にしようと必死だもんな
俺のせいなんだろうけど







『俺とお前だけの秘密な』




「A兄と、俺だけの？」



『そ、』




ぱあって笑うもんだから、やっぱりキルアはまだまだ子供だな
なんだか堪らなくなって、同時に居た堪れなくもなった







『俺がこの家を出た話したげる』





さてさて。母さんが見てなけりゃいいけどね


.

20→←19

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す