第四章 168_私から出て行って ページ19
『…過去の私が間違っていたか…それは私自身の事だし、
分からないし、答えられないよ。他人から見たら、間違いだと思うかもしれないけど』
ジャミル先輩やカリム先輩の問題のように…
一般論で間違いだと指摘するのは間違っている気がする。
まぁ、学園長には怒鳴ったんだけど…。
そっと手を伸ばし、過去の私の涙を拭う。
どんなに拭っても、またポロポロと落ちてくる。
これは本当に私だろうか…‥私がなりたかった私なんじゃないかな。
不幸だから一人でいろと言われて、誰にも相談できなくて、
関わったら関わったで怒られて、
泣く事も出来なくて__そんな私の欲望なのかもしれない。
憶えている限り、こんなに泣いて縋った記憶はない……と、思ったけどあったな。
木の上に置き去りにして、ジェームズに泣きついたんだっけ……。
まぁ、あれは犬だから除くか。
なんとか上体を起こして、ポロポロと泣いている過去の私の頭を撫で、抱きしめる。
__一人でいるって、言ってよ__
__お願いだから、1人の私に戻ってよ__
__じゃないと……”今“の私が消えちゃうよ__
ポンポンと背中を優しく叩いて、過去の私の言葉を聞く。
可哀想だし、これは私の欲望なんだし、頷いてあげたいところだけど…。
『ごめんね、それは無理なの』
__なんで…何で…?__
『一人になろうとしても、放っておいてくれない人達が側にいるから』
目を瞑っていた時、グリム君達が呼ぶ声が聞こえた。
また心配かけただろうな……。
こんな風に心配してくれている彼らがいるから、私は“昔”に戻る訳にはいかない。
__わたしはいらない子なの、だから___
__だから、お母さんは……私を...___
泣いて縋る過去の私……その背中に黒い影が見えた気がした。
私はぎゅっと過去の私を抱きしめる。
『……不幸だと言われて、1人でいろと言われて、
悲しんだし、苦しんだし、母さんを恨んだことだってある………けどね、
それは全部“私”なの。全部、必要なの。
これは‟いらなく”なんかない……全部、全部、私の心だから。
貴方だって、私の一部、何も怖がらなくていいよ』
強張っていた過去の私の体が私に寄り掛かってきた。
『……だから………
私の過去に張り付いた、影がスッと離れた。
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ALICE(プロフ) - ちりさん» オリジナル部分はメインに介入しすぎないか、たびたび不安になりますが感情を乗せて読んでいただけたならば幸いでとてもうれしいです!度々のオリジナル要素が増え続けるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。 (2020年9月24日 17時) (レス) id: 8355c0cb19 (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - ブルーフェザーさん» 5章のメインストーリー楽しみにしていただきありがとうございます!迅速であげさせていただきましたので、楽しんでいただければ幸いです!今後ともよろしくお願いいたします (2020年9月24日 17時) (レス) id: 8355c0cb19 (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - ゆゆさん» 返信遅くなり申し訳ありません!一気読み大変なのに、ありがとうございます!これからも頑張って行きます! (2020年9月24日 17時) (レス) id: 8355c0cb19 (このIDを非表示/違反報告)
ウミソラ(プロフ) - 五章ずっっっっっっと待っていましたぁ!!!!今度はどんなお話の展開になるか楽しみです!!!番外編も本編も楽しみにしています!!!! (2020年9月14日 21時) (レス) id: f06a1e9de4 (このIDを非表示/違反報告)
ブルーフェザー(プロフ) - キタキタキタァァァ!!!五章楽しみです!!!更新ワクワクしながら待ってます!!! (2020年9月14日 20時) (レス) id: d01e8aaa3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ALICE | 作成日時:2020年7月31日 23時