ポムフィオーレにいるお兄さん2

58話 ページ8

○クルーウェルside


「恋というのは、」


途切れ途切れだが、少しずつ語り始める。


まさか32にもなってこんなに追い詰められるとは。


でも、キョトンとしたAの顔を見ると、何もかも話せてしまう。


「顔が見れるだけで…幸せになる。」


いや何で勝手にこんなこと言ったのか分からないけどな。


「名前を呼ぶだけで…少しだけ緊張する。」


目が合うだけでも緊張しているのに、勝手に言葉が出てくる。


「何をしていても、相手のことを考えてしまう。」


今何をしているのか、誰を想っているのか。


ここ何年もずっとそんなことを考えていた。


「ずっと一緒に…いたくなる、離れたくなくなる。」


教師と生徒、そして俺が持っているクラスとAのクラスの学年はちがう。


そんなに離れているから少しでも長く一緒にいたい。


「触れたい、と思う。」


触れると嬉しくなる反面、恥ずかしくなる。


それでももっと触れたい。


「特定の相手に対してそう思っていれば、その相手に惚れている証拠だ。」


Aが誰を好きになるのか、分からない。


もう、誰かに落ちているかもしれない。


そう思っても、想いは変えられない。


恋は難しいものだな。

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