番外編 水から見た蟲の話 その2 ページ31
それでも、子柄で鬼の首を切る腕力が無いと言われつつも、柱にまで上り詰めるほど血の滲むような努力をしてきた彼女を俺は尊敬の意を抱いてこう呼んだ。
「…ああ。久しぶりだな、胡蝶」
それは、嘗ての花柱を指す呼び名だったもの。
その言葉に彼女は肩を揺らして、一瞬目を伏せたものの、直ぐにニッコリと姉によく似た笑顔でゆっくりと口を開いた。
「ええ、本当に。……今日から、蟲柱となりました、胡蝶しのぶです。宜しくお願いしますね。」
少しだけ首を傾けて柔らかく微笑む仕草。
その女は、俺の知っている胡蝶カナエでも胡蝶しのぶでも無かった。
そして存外、この女は不器用に笑うのだと思った。
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「カァァー死亡!死亡!胡蝶シノブ!上弦ノ弐トノ格闘ノ末、死亡!!」
「っ……」
「…っそんな…しのぶさん…」
無限城内を飛び回る鎹鴉からの伝令に言葉が見つからなかった。
炭治郎は悔しさを噛みしめるように歯を食いしばっていた。
だが、俺はそうだろうなと心の片隅で思っていた。
「ねぇねぇ、冨岡さん。」
いつも、俺をつつく小さな指。
それは一年ほど前から時々、不自然な程に震えていた。
それを指摘すると胡蝶は目を見開いてピタッと動きを止め、次第にたおやかな笑みを浮かべて此方を見つめた。
「人には他人から口出しされたくない事だってあるんです。…貴方にはでりかしーというものが無いんですか?そんなだから、皆に嫌われるんですよ。」
と、いつもの様にチクチクと刺すような言葉を口にするお前は毎回の様に俺が周りから嫌われていると言っていた。
だが、お前は
「ねぇ、冨岡さん。」
そう言って、此方を見つめるお前は今にも泣きそうな少女のような笑顔ともいえない顔を俺に向けていた。
遠退いていく鎹鴉の伝令にただ、思う。
胡蝶、お前の不器用だった全てが俺は存外、好ましく思っていたよ。
【そのちぐはぐな笑い方さえも】
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皆様こんにちは!!
さて、突然の番外編です。
いきなりですみません!
でも何故、ここに書いたかというと、番外編はifの物語なので、嘗てのしのぶさんを描くなら、やはり本編かと思いました。
あっ!勿論、本編は続きますのでご安心下さい!
今回は冨岡さん視点のしのぶさんのお話でした!
では、また次回本編で!!
byこんぶん
2021.2.18
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こんぶん(プロフ) - りこさん» コメントありがとうございます!返信が遅れてしまってすみません!今は少し忙しいですが、できるだけ更新していきたいと思うので、今後もこの作品を宜しくお願いします! (2021年2月18日 20時) (レス) id: d578b282eb (このIDを非表示/違反報告)
こんぶん(プロフ) - Okamotonori0831さん» コメントありがとうございます!返信が遅れてしまってすみません!なるべく、更新出来たらなと思っているので今後もこの作品を宜しくお願いしますね! (2021年2月18日 20時) (レス) id: d578b282eb (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 忙しいかもしれないけど頑張ってください! (2020年10月18日 19時) (レス) id: a8cbe2003c (このIDを非表示/違反報告)
Okamotonori0831(プロフ) - 良ければ、また更新して欲しいです!!とても面白いく、他にない感じで、私はイケメン戦国と鬼滅の刃どちらも大好きなので!!これからも頑張ってください(●´ω`●) (2020年10月18日 17時) (レス) id: c16ce53743 (このIDを非表示/違反報告)
こんぶん(プロフ) - りこさん、コメントありがとうございます!最近忙しくて更新が遅くなるかもしれませんが頑張っていきます! (2020年9月10日 18時) (レス) id: d578b282eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こんぶん | 作成日時:2020年8月23日 20時