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A「 …でもきっとこれが、私と先輩の正しい距離だと思います。」
絞り出したみたいに小さな声でそういったA。
今までこんな風に俺に真剣に意見するなんてことなかった。
それだけであの頃とは違うって思い知らされて、
…あの頃の気持ちは、もうちゃんと消化しましたって言われてるみたいで。
A「ごめんなさい、偉そうなこと言っちゃって…。
でも私、もうお兄ちゃんに守ってもらわなくても良いぐらい、強くなったんです。
だからもうそんなに心配しないでください。」
「……やだよ。」
A「え…?」
まさかの返答だったのか、目を丸くしてるA。
「俺は…Aが困ってたら助けてやりたいし、
泣いてたら涙を拭いてやりたい。
…心配だってするに決まってじゃん。
Aのことが大切だから。」
A「それはっ…
私じゃなくて、
先輩の本当に大切な人にしてあげてください。
妹は、いつか独り立ちするんですよ?」
泣きそうな顔をして、それでも笑おうとするAを見てられなくて、腕を引いて自分の胸に閉じ込めた
「……だから、そんな顔で笑うなって。」
A「先輩っ…離してください。」
「無理だよ。」
A「も、やだっ」
離れようと押し返す手。
背中にまわした手にぐっと力を込める。
「俺はAがほんとに大切だから。」
…そう言うとAの身体からすっと力が抜けた。
A「……私の言ってる“大切”と、先輩の思ってる“大切”は違います。」
「違わないよ。」
顔を見てちゃんと伝えたくて腕を解いて覗き込むと
瞳に一杯の涙を溜めてるA。
拭おうと手を伸ばすと、一歩下がってそれを避けられる。
A「…全然違います。
だから、もうこういうの、やめてください…。」
そう言ったのと同時に、大粒の涙がAの頬を伝って落ちる。
「好きだよ。」
自分でも驚くほど、自然に出た言葉。
「Aが好き。」
その言葉に固まってるAの頬に手を伸ばして、やっと涙に手が届く。
「Aのことが大切だから
誰にも渡したくない。
…これ、同じ意味じゃない?」
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ななこ(プロフ) - こたえあわせ、めちゃくちゃ好きで何回も読み返してます!もし良かったらこの話のAfterstory的なもの書いて欲しいです…! (2021年3月25日 1時) (レス) id: 6f285e02f0 (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - ぷにぷにさん» お返事遅くなってすみません!兄のきもち、楽しんで頂けてよかったです(*^^*)鈍感かと思いきや、1番鈍感じゃない、っていう雄平さん。(笑)遅くなりましたが、移行しましたのでそちらも是非読んで頂けると嬉しいです! (2019年7月22日 2時) (レス) id: 2beed3f33a (このIDを非表示/違反報告)
ぷにぷに(プロフ) - 兄目線、面白いです!!2人を見てきたお兄ちゃん……続き待ってます! (2019年7月15日 12時) (レス) id: 8e7e67402b (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - piroponcandyさん» 長いことお付き合い頂いてありがとうございました!(笑)おまけもつけてみたので、ぜひ読んでくださいね◎ほんと、主人公羨ましい。(笑) (2019年6月23日 17時) (レス) id: 2beed3f33a (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - ぷにぷにさん» コメントありがとうございます!!本当ですか〜(;_;)そんな風に読んでいただけていて、すっごく嬉しいです…!おまけも更新したので、ぜひそちらも読んで頂ければ(*^_^*) (2019年6月23日 17時) (レス) id: 2beed3f33a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nico | 作成日時:2019年2月23日 23時