ちいさな恋 4th

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帰りになんかあったか…？


…やっぱ無理やりにでも送っていけばよかった。







…でも


何回送ってくって言っても“ 1人で帰れる ”の一点張りだったAが、俺の手を外して部屋を出て行った時……正直すげーショックで。



久しぶりに会えて喜んでたのは俺だけで、
あいつはほんとは藤ヶ谷さんと帰りたかったのかも知れない。



一緒に帰れる時間は、あいつにとってきっと大切な時間だったんじゃないのか？




そう考えだすとキリがなくて。
健気に彼を想うAの気持ちを考えると
胸が締め付けられる。







藤ヶ谷さんが結婚したら、Aはどうなんだよ…。







やるせない気持ちを抱えたまま、また会わなくなるのかと思うと、今すぐ会いに行きたいと思うけど……



行ってどうする？そう問う自分もいて。




どうすることもできないまま、結局何も出来ずにまたいつもの日常が始まった。







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ある日の仕事終わり。

しばらくぶりに雄平と飲みに来て、自然とこのあいだのAの話題になった。




雄「お前とA、何年振り？5年ぐらい会ってなかったんじゃねーの？」




「そーだよ。全然会えなかったもんな。」




雄「会えなかった、ねぇー。




……なぁ、あの日マジで何もなかったの？」




「ねーよ。なんかあったらこんな堂々とお前と会えねーわ。(笑)」




雄「いや、いいんだけどさ？

あいつの落ちてる声久々に聞いたからさ。」





……そんなに？







「…………なんか、先輩が結婚するらしくてさ。」



雄「ん？」




「あいつ、その人のこと好きっぽくて……辛そうだったわ。」




そう言った俺を一瞬驚いたような表情で見た後、軽くため息を吐いた雄平。





雄「またかよ…」









……また？






「またって何だよ？」





雄「いや、あいつ昔っからそうゆうとこあるからさ。」





「そうゆうとこ…？」






雄「……叶わねーのに好きになって、誰にも言えないまま1人で泣いてんの。



まー俺は優しいから気づかねー振りしてやってたけどな。」






「なんだよそれ。いつの話？」




…だってA、高校卒業してから家出てんじゃん。




雄「あー。




……いつだったっけな。



でもA、そいつの事すげー好きだったんだよなー。


なのに相手はそんなん全く気付いてなくて。


…なんか、シスコンでもなんでもねーけどさ。
妹ながらに健気だったわ。(笑)」







……そんな奴いたのかよ。

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