【Fischer's】七色の色

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-Masai side-


シ｢A、出るぞ____!!｣



建物中に流れた放送を聞いたシルクが、Aに向かってそう声を上げたのと同時に


俺の心臓は悲鳴をあげた。




............焦りで、鼓動が速まる。




格好悪い承知で打ち明けると、俺はさっきのアスレチックで足首負傷。




5人チームのリレー.........?

痛みで転んだらやばい。
俺のせいで最下位になったらやばい。




...みんなは笑って、順位なんてカンケーねぇっつぅだろうけど




俺は、当たり前だが1位を取った時のみんなの笑顔が見たい。







こんくらい大丈夫。家帰って冷えピタでも貼っときゃ治るだろ。







___そう自分に言い聞かせて、俺はモトキから貰ったバトンを握って思い切り走った。




もう、半周した位で痛みは限界だった。





今すぐ座りたい。冷やしたい。

.........けど、俺から回るバトンを待つAが目に入って




自然とスピードは落ちなかった。









A｢____ここ、座ってください。｣


シルクが1位でゴールして、Aと俺以外はみんな水を飲みに行った。



そのタイミングを見計らったのか、Aは自分のリュックから救急セットを取り出して



俺を椅子に座らせる。





......まぁ、隠してたつもりじゃなかったんだけどな。

ただ、言いたくなかっただけで。






A｢できました。｣





嬉しそうに、ハサミや包帯を片付けながらAは呟いた。









｢_____綺麗。｣









.........これは、俺の足首に言ったわけじゃない。

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