犬系の後輩くんは、苺の王子！

帰る ページ14

莉「先輩、今日は先輩が一緒にいてくれて俺楽しかったです！」


カラオケを出て、莉犬くんがそう言った。


「ありがとう、私も楽しかったよ。誘ってくれてありがとね」


莉「じゃあ、また学校で！ さようなら、A先輩！」


「じゃあね」


可愛い笑顔で帰って行く莉犬くんを見て、私は手を振った。


男の子「A先輩すいませんね、付き合わせて」


「いいのいいの！ 私も楽しかったし」


女の子たちに目をやると、あの子はまだ口を結んでいて、にこりとも笑わない。

さっきよりも、ずっと怖い顔をしている気がする。

すごく可愛らしい雰囲気の子なのに、あんな表情をずっとしているなんてもったいないなあ。


「あの、大丈夫？ どこか痛い？」


女の子「……いえ。では失礼します、A先輩」


そう言って、彼女はくるりと向きを変えて取り巻きたちも帰った。


「うん、じゃあね」


なんだったんだろう、『いえ』とか言っていたけれど実は誰にも言えないようなことがあったのかなぁ。

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