イルミナント

F98 #4 ページ20

「雄也？」

「なに？」

「さっき、大丈夫だったか？」



みんなが寝静まった夜。
今日もソファで兄ちゃんと隣り合う。



「大丈夫だったよ。」

「そっか、よかった。」



兄ちゃんがサラサラと髪を撫でてくれるのが好きだ。
もし髪を染めたらバシバシになって、兄ちゃんはこんな風に触ってくれなくなっちゃうかなぁ。



「あのね、慧くんが手を引いてくれたんだ。」

「慧くんが？」

「兄ちゃんが光のこと落ち着かせてる間、慧くんが手を引っ張って自分の部屋に連れて行ってくれてね。大ちゃんも一緒に。」



兄ちゃんは目を丸くした。
そしてその後満面の笑みを浮かべた。



「そっかぁ、慧くん。歓迎してくれたかな、俺らのこと。」

「歓迎したんじゃなくて？俺らが。」

「違うよ。歓迎されたんだ。」



兄ちゃんは頭がいい。
だからたまに俺じゃ言ってることがわかんないことがある。

小さい頃から色々な知識を吹き込んでくれたけれど、正直あんまり覚えていない。



「そうか。歓迎されたんだ。」

「うん。」



でも兄ちゃんに言われたことで、ちゃんと覚えてることがあるんだよ。



「じゃあお互いに歓迎だね。」




『俺がお前の兄ちゃんだ』





F98 Fin.

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