イルミナント

F93 #2 ページ2

「慧くんは？」

「今日もダメっぽいな。」

「そっか。」



この施設に来てからもうすぐ1週間。
慧くんは一度も一緒にご飯を食べていない。朝も昼も夜も。

同部屋の光いわく必要最低限の会話はしてくれるらしいが、それ以上話すことはないらしい。

学校に行く準備もまだできていない中、ずっと部屋に引きこもっている。



「まぁ慧くんもいろいろ事情があった子だし、急かすつもりはないけどね。ご飯だけ。」

「そんなに食べてないの？」

「心配になるくらいには。」



もともと食べれない子なのか、それともここだから食べたくないのか。
分からないけれど、倒れてしまうんじゃないかと思うくらいに摂取カロリーが少ないことに変わりはない。



「いただきます。」

「いただきます。」

「いただきます！」

「ます！」



言うが早いか箸をハンバーグの真ん中に突き立てた大ちゃん。
肉汁が漏れ出る。あぁもったいない。



「宏ちゃん、このハンバーグおいしいね。」

「ほんと？」

「かくしあじ、入ってる？」

「入れたよ。」

「何入れたの？」

「内緒。」

「こえおいひい！！」

「大ちゃん、お口に入れたまんま喋らないの。」




この輪の中にいない彼のことを考えた。

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