【スタマイ】捜査一課の女神様 (ページ38)

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「それって一晩でできるの？」

「全部は無理じゃないかな。平日一週間潰さないと」

嫌そうな顔をした。

「そういえばAはそういうところで遊んだことあるの？まぁ、あるか。先輩とかに連れてってもらったりとか」

「ない。誘われそうになったら無理矢理でも残業したから」

その言葉を聞いた聡介は固まる。

「待って、お前、本当に友人と遊び歩いたことないの？」

「ないよ。いついなくなるか分からない奴と友達になんてなりたくないでしょ」

説教しそうだねと聡介の顔を見てAは退室した。

出ていくときに少し驚いた顔をして頭を下げて行った。

顔を顰めた聡介がAと入れ違いで入ってきた人物を見る。

「……母さん」

「あの子、年々、姉さんと義兄さんにそっくりになってきてるわね」

「あの子の母親はもっと破天荒だったと思いますけど」

「あら、そう見るならお前の目もまだまだねって言ってあげたいけれど私もそれに気付いたのは亡くなってからだから言えないわね。姉さんはどこまでも聡明で冷静沈着な人よ」

必要があったからそういう振舞いをしただけ、と服部の横、先ほどまでAが座っていた席に座る。

「それなら倒れたり情緒不安定になったりしないはずだと思うけれど」

「あら、身体の傷が癒えたところで心は癒えないのよ。そんな初歩的なことも知らなかったの」

ぐっと聡介が息を呑む。

「お前は私に愚息と言わせたいのかしら。あの子を舐めすぎ。あの子を努力の天才だと馬鹿にしているものそう考えるわよね」

「……俺は馬鹿にしてないよ。あんなに必死になれる彼女に憧れさえ抱いている」

「そこよそこ。お前はあの子の綺麗なところしか見てあげないんだもの。服部君。どうしてあの子をスタンドに入れたの？あぁ、責めているわけじゃないの。この愚息に現実を見せてあげたいだけよ」

その言葉に聡介は服部を睨みつける。

「彼女は少なくとも一年間失踪した事実があります。例の薬に関しても、浅くない関係を持っていることは調べ上がっています。もしかしたら俺を含めたこの中で一番、真相に近い人間かと」

彼女はその言葉を聞いて礼を述べると新しい珈琲を口に入れる。

「何も不思議な事じゃないの。服部君の先輩が伊田君で、捜査協力の際にあの子が両親の代わりに手を貸すこともあったのだから面識がないわけがないの」