【スタマイ】捜査一課の女神様 (ページ34)

今日:3 hit、昨日:17 hit、合計:14,965 hit

３４ページ34

「そういえば、聡介さんって服部さんに冷たい気がします」

「彼より先に接点を持ってたからね。少なくとも友人に近い関係だったとおもう。今じゃ想像つかないけどあの子、大分甘えん坊だったんだよ。遊んでほしくて早く終わって欲しくて知恵をつけたから」

懐かしそうに服部は語る。

「みのりさんも聡介さんもその頃を一瞬だけれど知っていた。けど、俺達の杜撰な捜査でAのご両親は捕まって、彼女が生み出した論文たちも都合のいい大人の実績にされ、虐待をするような本家に送られてしまった」

だから、おそらくみのりさんも俺に冷たいと思うと言った。

そして2人「も」何もできなかった自分が憎いと。

「でも、服部さんに何もできないってことはないんじゃないですか？昔馴染だったら支えになったりとか」

服部は笑みを消して眉間に皴を寄せる。

口を開きかけたときに何かが崩れる音が聞こえた。

恐らく誰かが棚を倒してものが落ちたのだろう。

音に気付いた人たちはすぐに音の素へといく。

資料室と書かれた扉が半開きで男達が人の名前を呼んでいた。

「無理するな飯島！頭から血が流れてんぞ！」

「大丈夫です。騒がしてすみません」

「思い切り棚の下敷きになってたんだから病院に行くぞ！」

「大丈夫です」

何を言われてもAは大丈夫ですからと棚の中のものを戻していく。

服部が男達をどかせてAのところへ行く。

「原因は？」

「私の不注意です。ご心配なく。大丈夫ですから。頭の傷もすぐ塞がりますから」

目すら合わせない。

Aが資料の題名に目を凝らしてみていると服部はそれを奪い取って近くに置いた。

気だるげにAが目線をあげた。

「これ片づけておいて。それと、棚の建付けについても連絡しておいて」

服部が周りに指示をだすとAを抱き上げた。

「目の焦点も合っていないのに大丈夫なわけがないでしょう」

「今からは嫌です。せめて明日にしてください」

と抵抗をして降りようとしたが、頭を打っていたらしく少し激しく動いただけで激しい眩暈を覚えて気を失ってしまった。

泉がハッとなって時計を見ると16時半だった。

「今から処置して点滴を打てばすぐに……」

「気を失う程脳を揺らしたなら検査入院は必須だろうな」

それが分かっていたからAは抵抗したのかと泉は関心した。