【スタマイ】捜査一課の女神様 (ページ19)

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「今現在承認が下りていなければ証拠として不十分だ。流石、警察学校の時に成績不良だっただけあってそこまで頭が回らないか」

その台詞に服部以外の一課は驚いた顔をした。

服部は可笑しそうに笑っている。

「主席だった俺が教えてやろうか？」

男はニヤリと笑うがAはどこ吹く風である。

口を開きかけると車が走って来る。

黒塗りの車から身なりが良い男が出て来た。

「頼む！飯島君！息子を見逃してくれ！！」

と頭を下げた。

「おや、思ったより遅かったね。警視庁殿。でも、私がこれを見逃す理由はないのだけれど」

両者からどよめきが広がる中でAは平然としていた。

「成績の入れ替えについて怒っているなら謝ろう。金も出す。なんなら異例だが昇級するように進言もする！」

Aは首を振る。

興味がないのだろう。表情などに全く変化がない。

男はありえないと焦りを見せる。

「興味がないわけないだろう？給料も上がれば政界にも顔を覚えてもらえるだろうし」

と恐らくいいところを数々述べるがそれでもAは壁を見るかのように男を見る。

「この人数に聞かれてたら無理でしょ」

男は改めて周りを見た。

服部班だけではない。

一課と四課の連中も割と出てきているのだ。

マトリもいるのだが、関の顔を覚えていても他を覚えていないのだからどこかの課の連中としてみていてもおかしくない。

男は膝から崩れ落ちた。

「呆気ないね。折角人を殺して得た地位なのに」

そう呟いたと同時に風が吹いて髪がAの顔を隠した。

風が止めばいつもの笑みを浮かべたAが立っていた。

しかし唯一、髪の内側をみることができた男は悲鳴を上げて割と近くにいた朝霧の後ろに隠れた。

「ちょ、一体なんなんですか！」

「た、助けてくれ！あの女に捕まったら俺はきっと死んでしまう！あれに人の心なんてない！」

と指されたAは変わらない笑顔で小首をかしげるだけだった。

「失礼だね。君の親たちに比べれば私はとっても良心的だよ」

しかし怯え切った男は首を振り続ける様子をみてAは服部を見た。

「後は大丈夫そうですね、秀介さんに面倒ごと押し付けて来たので行ってきますね」

と軽く周りに挨拶して歩いて行った。

「この通り、全く人の話も言うことも聞かないわんこだけど要るの？」

「からかって悪かったよ」

服部の問いに四課長は苦笑いを浮かべた。