【まほやく】御伽噺のような (ページ29)

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A「やっぱりね。あなた、そこから動けないのね。お姫様ごっこがそんなに楽しかったの」

妹「もう楽しくないわ。お外に出たいもの。私も姉さまみたいにお友達を作りたいわ」

お友達という言葉にAは一瞬目を見開く。

そしてどこか嬉しそうにはにかみながら笑う。

A「そう言ってもらえて嬉しいよ。それなのにどうしてルガイドにあんなことをしたんだい？」

今度は妹の方がルガイドという言葉に頭を傾げる。

妹「ルガイド？」

A「お前がノアとの間に産んだ子供だよ。お前が名付けたんじゃないか」

妹「私に子供はいないわ。姉さま。子供を産んでしまったらお姫様でなくなっちゃうもの。ルガイド……変な技を使う子。きっと私やノア様と似ないで醜い子なのでしょうね。あぁ、思い出したわ。追放した騎士の名前がそんなだった気がする。ノア様が危険だというから国民を洗脳して襲わせたのに。なのになんで？」

現状を理解していないのだろう。

妹「誰も私の元へ帰ってこないの。誰も私の言うことを聞かないのよ」

A「確かにお前はちゃんと洗脳できてたよ。とても強力で私でも手に負えなかった。それぐらい強い意志だから城をくっついてしまったんだろうけど」

妹が不意に立ち上がった。

城が揺れる。

A「そのまま歩を進めるんだ。怖がらなくていいから。外への憧れを消さないで。君が外に出たら城は崩れるだろうが君は自由になれるんだ」

妹は頷き歩を進める一歩、また一歩と。

玉座から離れるほど揺れは酷くなる。

Aとシャイロックは目線を合わせて頷き合うとAを残して外へ向かった。

妹「痛いわ。姉さま足が」

その言葉の通りに足を見ると離さないとでも言いたげに石の棘が刺さっていた。

Aはベルを出して鳴らす。

A「怪我をしたら姉さまがいくらでも治してあげよう」

妹は痛みに顔を歪めながらも頷き、ゆっくりと前へ出る。

階段を降りきって一歩また進めると魔法陣が出て来た。

Aは目を見開いて妹のもとまで駆けた。

大きな光の柱が出て来たと思えば城が崩壊していく。