取り敢えず逃げよ。【五条悟】

2話 ページ3

悟君と暮らした家を飛び出した私は、新幹線に乗り東京さえも飛び出した。

都会過ぎず田舎過ぎない土地に引越した。
東京も京都も遠すぎず近過ぎず遠すぎず、あまり目立たないし、身を隠すにはバッチリだろう。家賃もそんな高くないらしいから。

引越し先は悟君も知らない私の育った土地。
産まれてから中学校までは住んでいた。
私自身がよく知らない土地よりも、熟知とまでは行かないが住み慣れた土地が良いだろう、と言う判断の結果だ。

そうして住まいを高級マンションの最上階から5階建てマンションの3階に変え、4年が経った。

産まれてきた子は二卵性双生児の双子だった。
2人とも両親である私と悟君の血を色濃く受け継いでいる上に、二卵性双生児なのにそっくりである。

1人目は、悟君の様な白髪に私の真っ黒な目が合わさった女の子。名前は奏恵(かなめ)。姉である。

2人目は、私の様な茶髪に悟君の澄んだ空を閉じ込めた目が合わさった男の子。名前は萃瑠(やつる)。弟である。

『鶴は千年亀は万年』

この2人には長生きして欲しいとの想いを込め、奏恵には''かめ''の2文字を、萃瑠には''つる''の2文字を入れた。
三日三晩悩んで決めたのだ。

2人は愛情たっぷりに育てている。
流石は悟君の子供と言うべきか、陶器の様に白くてまろいほっぺは薄く色付き、溢れんばかりの睫毛が縁取る丸い瞳は零れ落ちそうな程大きい。目に入れても痛くないとはこの事だ。

私も近所の人達に助けて貰いつつ、簡単な仕事に就き日々お金を稼いでいた。
補助監督時代のお金はまだまだたんまりとある。
だけど、何かと子供は入用だ。学校にでも行けばもっともっとお金が掛かる。
貯めておいて損はない。

やがて2人は3歳になり、流暢に言葉を紡ぐ様になって来た。

このまま、何も無い平和な日常が続けば良いのに。


▼ フラグ が 立った ！

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