1話 ページ2
「うそ...」
広いリビングでそう独り言る。
手に握るのは所謂『妊娠検査薬』。
その判定窓には縦線が1本。
普通なら伴侶と共に大喜びするのかもしれない。
だがしかし。
私は別に結婚などして無いし恋人も居ない。ただ、身体を重ねる相手は居るしその人と同居もして居る。
私はその人の事を少なからず思っているし、向こうもそうだと嬉しいのだが。
じゃあこれを機に結婚でも何でもしろよ!とでも思うだろう。
その相手が問題なんだ、相手が。
私が同居しているのは現代最強の呪術師であり、私の1つ上の先輩である五条悟その人だ。
御三家である五条家の出の彼。きっと私が妊娠したと知られたらもうとんでもない事になるだろう。
''あの''五条悟の子供。
必ず2つとも継いで生まれるとは限らない。
が、少なからず上の奴らには何か言われるだろうし、きっと五条家に連れてかれる。
補助監督の端くれである私に上を押し退ける力なんて無い。
私自身まだ宿ったばかりの我が子の命を絶つという事はしたくない。
親を頼るにも親が既に他界している。
よって、考えられる事は何か。
逃げるに尽きる。
私はそう決心した勢いのままに荷物を纏め、高級マンションを飛び出した。
悟君には申し訳が立たないが、こればっかりは致し方ない。
産んだ子を取り上げられたくないし、呪術の世界を進んで欲しくない。
完全なる私情だ。
お世話になりました、と意を込めて机の上に置き手紙と福沢諭吉を数人置いて行く。
さぁ、逃亡生活の始まりだ。
ーーー
「たっっっだいま〜〜〜!!!!」
長期任務がやっと終わり、漸く会えると意気揚々に帰ってきたその家には電気が着いておらず、何処と無く寂しかった。
嫌な予感を感じつつ電気を付ければ、机の上には小さな紙と福沢諭吉。
買い物に行ってきます、とでも書いてあるのかなぁ、と嫌な予感で震える手を叱咤して紙を持ち上げる。
───ただ、現実は無常なモノであり。
〘さようなら、ごめんなさい。A〙
「...は?」
口から出てきたのは南極よりも冷たい声。
丸っこい癖のある、だけど読みやすい文字の羅列が、彼女がこの家を出ていった事実を嫌という程に実感させる。
...へぇ、僕から逃げられるとでも思ってるのかな。
全く、可愛い事をする物だ。
何に嫌気が差して出て行ったのかは分からないが、まぁ彼女を見つけるのが先。
3日もあれば見つかるだろう。
───だが、予想は外れ彼女を見つけられず4年が経った。
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朧 - まって想像以上に良いなこれ(←どんな想像してんだよ)おはこんばんにちは!すみません…めっちゃ良いです!死ぬ前にミタカッター(←死んでねーだろ。)あ、更新頑張って下さい! (2021年2月15日 19時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
つんつるてん - 雪かきお疲れ様です!!!!! 応援してます(^ω^) (2021年2月10日 20時) (レス) id: 995c220f16 (このIDを非表示/違反報告)
椿 - 娘が転生者は新しくて面白いですね! (2021年2月8日 16時) (レス) id: bf2406d80e (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 居ますよね、こんな夢主 笑 (2021年2月8日 0時) (レス) id: 348703d198 (このIDを非表示/違反報告)
N(プロフ) - いつも見てます!受験頑張ってください!!応援してます!!無理しすぎないでくださいね!! (2021年1月23日 15時) (レス) id: 39ef0a72f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:momo | 作成日時:2021年1月4日 16時