ミッドナイト・サン【Snow Man】-2 (ページ30)

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渡辺side

退院してからもしばらくは仕事をセーブしないといけなくて部屋でゴロゴロする日が続いていた

ある日、夕方ぐらいにソースの匂いがしてきたから康二が何か作ってんのかと思ってリビングに降りる
リビングではたこ焼きを作る康二とたこ焼きを頬張るAの姿
途中で学校から帰ってきたらしいラウールもやってきてたこ焼きをつついている
Aが頬に手を当てて食べている様子に妙に既視感を覚える
その正体がわかる前に康二から声がかかる

向井「翔太くんも食べる？まだ焼くで好きな具入れたらええで」
『A、チーズがいい』
向井「チーズ好きやなぁ？せやったらいっぱい入れたらええよ」
『ふふ、こーじくんだいすき』

リビングに置かれたテーブルの上にはそこそこ大きいホットプレートが据えられている
鉄板はたこ焼き仕様になっていてそこに康二が生地を注いでいく
じゃんじゃかチーズを入れていくAの左隣に座るとAの大きな目が俺を捉える

ラウール「ちょっと、Aちゃんチーズ入れすぎ！！」
『えっ、あ！』
向井「これじゃあたこ焼き言うか、もうただのチーズやな」

目が合っていたのは一瞬ですぐにAの視線はホットプレートの方へ
なんか、この感じ、妙に懐かしい
目が合いそうになると逸らされているような

『しょーたくんもチーズたべる？』
渡辺「ん、もらうわ」

なんとなくもらう、と返したら康二とラウールがあからさまに驚いた顔をする
まあ、最近の俺のAへの態度は相当悪かったしな
当のAはものすごく嬉しそうな顔でチーズたこ焼き(たこは入っていない)を差し出す
少し齧ると溢れ出すチーズ
だからさっきから口が小さいくせに一口で食べてるのか
教えてくれたらよかったのに
慌てて残りも口に押し込むとキャッキャと笑うA
子供だな

深澤「あれ、翔太いたの？ん、これ追加のチーズ。Aまだ食べれる？」
『うん！』
深澤「ならいいよ。今日は好きなのたくさん食べればいいから」

ふっかがコンビニのレジ袋から出したのはチーズが入った袋とビールが数本
一本やるよ、と渡されたそれを受け取り、ひとくち飲む

『それなあに？』
渡辺「まだおこちゃまには早い」