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重なり合う呪い【紫】 ページ15

「ははっ、俺からそう簡単に逃げられると思わんでや」


…この人は

どうしてこうーー…



…悪びれもせず


…明らかに不審な私の行動に動揺も遠慮もせずずかずかと土足で入り込んで


…どうして、こんなにくしゃくしゃな笑顔で、私に笑いかけるんだろうーー…




「急に来なくなって心配かけたんやから、その説明くらいするんが人の務めゆうもんやと思わんかあ?」


…彼はそう言ってまた笑って


“歩きながら話さへん?”と私を置いて歩き出す…



「ーー…」



…また逃げたところで簡単に追いつかれるから

足下だけを見て私はとぼとぼと歩く



「なあ、なんやあったん?」


「…」


「ふはは、俺よっぽど嫌われるようなことしたんやろなあ」



…上下ジャージ姿 先を行く足取りはやっぱりサバンナの豹のようにしなやかすぎて


狩られる側の草食動物の気持ちを私は想像しながら



…でももう、この人と


これ以上、話したくはなかったーー…




「お、なんやこんなとこにも公園あったんか」




…声を聴いて思わず顔を上げる

足下だけ見て辿り着いたその場所は




「ーー…」



…いつか隆平さんと桜を見た、小さな公園


季節外れで、今はただペンキの剥げたすべり台とべたべたした砂場しかない無愛想な公園だけれど


どうしていつだってここに迷い込むの私は、なんの、進歩もなくーー…






“…A、俺んこと忘れんなよ”


“俺の匂いも温度も色も形も……全部”



“……一生、覚えとれ”




“…マルのこと、忘れんといてやってくれへんかな”


“…頼む”




…ああ、


呪いは重なり合って頭の中で反響する



…想い出せと


もうわかったのに



だから私は折角ああして走って逃げたのにこの人からーー…





「…A?」



「…ないから」



「え…?」



「忘れないから、許してーー…」



…泣きながら私は崩れる
頭上に浮かぶその声を掻き消すように両手で空中を掻きながら


「A」


消えやしないのに
膝に冷たい砂利が食い込む首が垂れ息ができないどうして



「A!」



どうして私はいつまでもこんな


その時ーー…





「あーーーー! もう! 落ち着けや!!」




…世界中に響き渡る声が私を叱った

長い物語【紫】→←紫の告白1



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たまご(プロフ) - okmrernさん» あ、なんか途中で送信しちゃったごめんなさい…!引き続きよろしくお願いします! (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - okmrernさん» okmrernさま、お久しぶりですありがとうございます!ここまでされても私はこの村上信五とつきあいたい (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさま、お久しぶりですありがとうございます!ラスボスは一番そばにいるということでひとつ…! (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ぐふ。さん» ぐふ。さま、初めてのコメントうれしいですー!!信五最強説です…!そしてビリヤード!素敵ですねそれ…ただ友達がいる設定にしてしまったなあの店員さん…… (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ゆき姉さん» ゆきえさん!コメントありがとうございます嬉しい!ほんとしんどい話でごめんなさいね…いつもありがとうございます! (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たまご | 作成日時:2019年8月18日 23時

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