神様のいじわる【Side青】 ページ3
その日は朝から雑誌の取材で、僕はスタジオにこもりきりやった。
真夏の撮影でも、発売されるのは秋やから、スタイリングは思いきり秋物で。
そんなつまらんことで「あっつー」なんて弱音を吐くことはもうないけど、
それでも、途中 写真にバリエーションを出すために炎天下の公園にロケに出たときは、
さすがにしんどかった。
ま、スタッフさんたちみんな気を遣ってウチワで扇いでくれはるし。
みんな暑いだろうにと、僕もなんだか申し訳なくなって、スタイリストさんと「これかっこええですねえ」なんて話すうちに、そん時 着ていたジャケット、買い取らせてもらうことになった。
その約束をした、15分後。
僕は見事に、飲んでいたアイスコーヒーをこぼす。
「うっわー、ごめんなさい! これ僕さっき買い取るて約束したんで…あとでお金払いますわあ…」
スタイリストさん、慌てて遠慮してはったけど、完全に自分のミスだから仕方ない。
ーー神様って、いじわるやなあ。
スタジオは僕んちから近所やったから、送りの車断って、僕は歩く。
右手には、コーヒー染めのジャケット。
なんとなくむしゃくしゃして、こんまま捨てたろか、とも思ったけど、服に罪はない。
どーせ着れるんは秋以降やし、と僕は思い立って、目についた古いクリーニング屋さんにふらりと立ち寄った。
…この不機嫌と一緒に、キレイに洗い流してくれんかな。
「すいませーん」
「いらっしゃいませー」
元気よく振り向きながら迎えてくれはった看板娘っぽい店員さんに、僕は尋ねる。
「初めてなんですけどー、このコーヒーのシミって落ちますかねえ?」
「……」
「…さっきこぼしてしもうて…難しいですかねえ?」
「……い、え、大丈夫です! コーヒーは水洗いで落ちることが多いんですけど、ジャケットはドライクリーニング扱いなので、あ、でもこれくらいなら大丈夫です! 無料のシミ抜きサービスの範囲内で大丈夫ですっ…!」
……「大丈夫です」て、3回言うた。
なんだか全然大丈夫そうじゃないその子の対応に、僕はなんとなく気づく。
たぶん、ファンの子、やなあ…。
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たまご(プロフ) - まれなさん» まれなさま、コメントありがとうございます!まだ書き始めて3.4ヶ月しか経っていない新米作者ですが、楽しんでいただけているならよかったです…!今後とも何卒よろしくお願いします^ ^ (2018年4月8日 23時) (レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
まれな(プロフ) - いつもたまごさんのお話楽しみにして読んでます♪ 普通とは違う感じでまるで本当の小説を読んでるような感じがして本当にはまってます!!これからも期待してます!! (2018年4月8日 22時) (レス) id: 77816b1cc4 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - たむこさん» たむこ様、コメントに気づかずレス遅れて本当にごめんなさい!!失礼しました! 励ましていただいてうれしいです…なかなかうまく書けないですが見習ってがんばります! 引き続きよろしくお願いします^ ^ (2018年1月27日 11時) (レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
たむこ(プロフ) - たまごさん» 先輩作者だなんてとんでもないです(T_T)まだ稚拙な文しかかけない新参者ですので...!これからもご無理のないようにたまごさんのペースで書いてくださいね(^^) (2018年1月22日 16時) (レス) id: 5f35bba986 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - たむこさん» たむこ様、うう、有り難いコメント本当にうれしいです。前作は処女作らしく勢いで書けたんですが、今回難しくて悩みながら書いてます…たむこさんのように先輩作者さんたちの偉大さを思い知っております。。。今後ともよろしくお願いします! (2018年1月21日 22時) (レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たまご | 作成日時:2018年1月16日 14時