さよならのシーン【緑】8 ページ48
…彼女と話したのは、それから2か月くらい経ってからのことやった。
そん間 俺はツアーやらなんやらであんま店には寄りつかれへんかったし
それはなんというか、ふわふわと浮かれとった俺にとってええ冷却期間のように思えて
…彼女にはもう長いこと付き合うてる彼氏がおるんを知っとったし
一応俺にも…まあ別れかけやったけど彼女いう存在はおったわけやし、共通の知り合いもたくさんおるし
…まあ、いずれんせよいろいろ面倒なことになるんは目に見えていて
身勝手な衝動に身を任せるんはもう、辞めておこうと
意を決して久しぶりに店に顔出した日のことやった
「あ…ごめんお待たせ」
店んトイレの前、みんなが飲んどる席からは死角になる暗がり
スピーカーが近くにあるから音楽がやけにうるさい一角で
出てきた彼女は俺を見上げて、少し焦ったようにそう言った。
「ーー…」
「…ごめん、ちょお待って」
…別にそんまま、なかったことにすればよかったねんけど
やったわけでもあるまいし、
こういうことは男女ん間でまあ、ありがちなことで
現にさっき、俺はわざと彼女のほうも見んと離れて座り
きっと彼女はそんな俺を見て察したんやと思うし、やからそんまま黙って俺ん横すり抜けようとしたんやろうしーー…
「…ごめんな、なんか」
…やけどこんまま気まずくなるんは嫌やったし
いや、
きっと、すれ違い様 香った彼女の香水が
あの階段でキスした日と同じ匂いやったからーー…
「…なにが?」
「や、なんか俺、適当なことしてまったなあって…」
「…だからなにが?」
…右腕掴んで引き止めたのに、彼女はこちらを見ずに喉の奥で殺したような声でそう、返す
ああ、怒っとるんやなって俺は思うーー…
「や…いろいろ考えたねんけど、Aちゃん彼氏おるのに悪かったなあ思って」
「ーー…」
「…ああ、ごめん もう触ったらあかんな」
掴んだ腕をそっと放すと、彼女は自由になった自分の右腕を左手で抱えながら
こちらを、
見たーー…
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たまご(プロフ) - くりくりさん» くりくり様、お返事遅くなってごめんなさい!コメントありがとうございました!ラスト駆け足になってしまいましたが、少しでも気に入っていただけたなら幸せです。今後ともよろしくお願いします! (2019年9月5日 4時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - まっきーさん» まっきー様、いつもありがとうございます!緑さんのお話、書いた当初は自信なかったんですが、今では結構好きなお話です。7人揃う日まで気長にお付き合い頂けると嬉しいです…! (2019年9月5日 4時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
くりくり(プロフ) - 初恋ごっこ、読み終えて胸が苦しくて愛おしい気持ちが溢れて一言お伝えせずにいられなくなりました。更新が待ち遠しいです! (2019年8月25日 15時) (レス) id: f2b0afbb33 (このIDを非表示/違反報告)
まっきー(プロフ) - どのお話も素敵でした!とくに大倉君のお話が堪らなく好きです(*´∇`*)最高です!!お忙しいとは思いますが、更新楽しみに待っています!! (2019年8月15日 20時) (レス) id: 76f56a80a0 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ひよりんさん» ひよりんさん!コメントありがとうございます、まさかひよりんさんに読んでいただける&コメントまでいただけるとは思わず二度見しました…!うれしいですありがとうございます、今後とも何卒よろしくお願いします…。゚(゚´ω`゚)゚。 (2019年8月15日 16時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たまご | 作成日時:2018年4月30日 14時