初恋ごっこ【橙】４ ページ31
「いらっしゃいませ、ご予約ですか？」
…何を話そう
あのメールが来た日から、
ううんミエちゃんと再会した日からもしかしたらって
新幹線の中でもさっき歩きながらだって何度も考えたのに
“久しぶり”
“元気そうだね、テレビ観てるよ”
それから先に思考が全く進まないままここまで来てしまったーー…
ウェイターさんに案内されるままに奥へと進む
…すごいな
立派なお店、やっぱりいつもこういうところでご飯とか食べるものなのだろうか
怖じ気づきそうになった矢先に案内された個室のドア
中から響く賑やかな京都弁と笑い声ーー…
「おっ、きたやんなー」
「え、誰ー？」
「サプライズゲスト、5-6年ん時に一緒やったAAちゃん、覚えてへん？」
円卓を囲む、4人が一斉にこちらを見たーー…
「ーー…」
「…お久しぶり…です」
…絞り出した言葉は、精一杯の敬語だった
“彼”は向って正面、ミエちゃんの横に座っていて
さっきまで笑顔だったであろうその顔が戸惑ったように曇ったのを
私は、真正面から見てしまったからーー…
「あー！背ぇ高かった子やんな？」
「せやせや、私めっちゃ仲良かったねんけど、こないだ仕事で偶然再会してん」
“彼”以外の彼らは弾けたようにそんなことを言って、どーぞどーぞと彼とは反対側のミエちゃんの隣に座らせる
「あれ、ごめんなんやったっけ名前」
「コーキ失礼やん、AAちゃんやってば」
「…いや、覚えてないのも無理ないです、私卒業アルバムの撮影の前に転校しちゃったし」
「今は東京住んではるの？」
「いや、出張でよくこっちには来てて…」
…気さくな席に飛び込んだ初対面の客を気遣うように彼らは話しかける
それに合わせるように“彼”も曖昧に頷いたり笑ったりする
10分もすればそんな話題もあっさりとなくなり
会話は小気味いいテンポの京都弁で繰り広げられる、私の知らない彼らの“その後”の話ーー…
「マル、酒切れとるやん、次は？」
「んー…僕紹興酒もらおかな…みんな飲むならボトル入れるけどどないする？」
「私飲むー」
手を上げる3人
「えーと…Aさんは…？」
…私が席に着いて40分後
彼が初めて、私に話しかけたーー…
“Aちゃん”
“Aさん”…
「あ、私ビールのままで大丈夫です」
「ほんま？ 店員さん、ならグラス4つで」
…彼がその場で私にかけた言葉は、それが最後だった
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たまご(プロフ) - くりくりさん» くりくり様、お返事遅くなってごめんなさい！コメントありがとうございました！ラスト駆け足になってしまいましたが、少しでも気に入っていただけたなら幸せです。今後ともよろしくお願いします！ (2019年9月5日 4時) (
レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - まっきーさん» まっきー様、いつもありがとうございます！緑さんのお話、書いた当初は自信なかったんですが、今では結構好きなお話です。7人揃う日まで気長にお付き合い頂けると嬉しいです…！ (2019年9月5日 4時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
くりくり(プロフ) - 初恋ごっこ、読み終えて胸が苦しくて愛おしい気持ちが溢れて一言お伝えせずにいられなくなりました。更新が待ち遠しいです！ (2019年8月25日 15時) (レス) id: f2b0afbb33 (このIDを非表示/違反報告)
まっきー(プロフ) - どのお話も素敵でした！とくに大倉君のお話が堪らなく好きです(*´∇｀*)最高です！！お忙しいとは思いますが、更新楽しみに待っています！！ (2019年8月15日 20時) (レス) id: 76f56a80a0 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ひよりんさん» ひよりんさん！コメントありがとうございます、まさかひよりんさんに読んでいただける&コメントまでいただけるとは思わず二度見しました…！うれしいですありがとうございます、今後とも何卒よろしくお願いします…｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡ (2019年8月15日 16時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2018年4月30日 14時
