妖精たちの会合【Side青】 ページ44
「なぁ おおくらぁ…」
「なんじゃおぉコラ？ うははは！」
「もう、そーゆーのいらんねん、つーか飲み過ぎやろお前…」
月曜の夜から終電後に居酒屋におる客なんてほとんどおらんくて、なじみの店で調子乗ってもーた僕と大倉は、ひとしきり「メニューをしりとりで頼むゲーム」とか意味分からん遊びをしつくして、すっかり酔いつぶれていた。
「『ハツ』の後『つみれ汁』やから、次は『る』やで、ヤス」
「『る』から始まるメニューなんてないやろぉ…」
いつも一緒に飲むツレもおらんかったから、今日は珍しく二人きり。
「カクテルメニューとかにありそうやん？ あ！あった！ ルシアンネイルやて！ ははは！」
「もー無理やてぇ…」
僕の友達はちょっと陽気すぎるんや…。
すっかり参ってもーた僕は、机に頭ゴンッてぶつけて突っ伏した。
酔いが回れば回るほど、あかんねん。
あれから一か月、ずっとモヤモヤが抜けんくて、かなこさんとこ行く気すらおきんくて、
僕は初めて、自己嫌悪という感情を知った、気がする。
「なぁ おおくらぁ…お前今彼女とかおるん？」
「お前と初めて会うてから 俺に彼女おらん時なんてあったか？ どしたん急に、失恋でもしたん？」
…そーなん、かな…。
もう自分の気持ちが自分でもわからんわ。
最初は、ちょっとした同情と好奇心。
それが、Aちゃんのこと知っていくうちに、あまりにいじらしいから、僕もこんなふうに愛されてみたいって、
渋やんのことが羨ましくなったのかもしれん。
「なぁ、彼女とセ フレの違いって なんなん…？」
「そりゃお互いに、あなただけですよって約束することちゃうん？」
「ならお前の彼女、彼女ちゃうやん」
「俺はちゃんと新しい子できたら別れるで。…そのスパンが短いだけや」
「この世にお前の元カ ノ何人おるんやろな…」
そもそも渋やんて、なんでAちゃんと付き合わんのやろ。
ちゃんと捕まえとってくれたら、僕も最初から応援できたのに。
はっきりしない渋やんが悪いんとちゃうん…？
「渋やんて彼女おるんかなあ…？」
「…ヤスの失恋相手ってす ばるくんやったんか。やっば！」
…大倉は相変わらず頭上で「俺は理解あるタイプやから大丈夫やで」とかなんとか話し続けてくるけど、僕にはもう、ツッコむ気力もあらへん。
おでこにくっつく机がひんやりして気持ちええ。
もう、重力に逆らう気もおきんわ。
「おらんて」
「んー？」
「す ばるくん彼女、おらんて」
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たまご(プロフ) - ぐさん» ぐさま、嬉しいお言葉ありがとうございます！なんとか第2幕も開幕しましたので、続きも楽しんで頂けるように頑張ります^ ^ (2018年1月3日 12時) (
レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - めちゃさん» めちゃさま、コメントありがとうございます！すばるくんのセリフ気に入って頂けるの、すごく嬉しいです…幽霊、いいですよね…w 引き続きよろしくお願いします^ ^ (2018年1月3日 12時) (レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
ぐ(プロフ) - 初めまして。"既に投票済みです"となるのを分かっていても評価を押したくなるくらいこのお話が大好きです(*^◯^*)続きも楽しみにしています！ (2018年1月3日 1時) (レス) id: 378be249b3 (このIDを非表示/違反報告)
めちゃ(プロフ) - すばるくんのセリフの一言一言が全部好きです 私も幽霊になりたい (2018年1月2日 18時) (レス) id: 2487310cb4 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - なつきさん» なつき様、ごめんなさい！続編設定、今解除しました。続きは準備中なので、もう少々お待ちいただけるとうれしいです！ (2018年1月2日 17時) (レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2017年12月22日 3時
