検索窓
今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:382,153 hit

最悪な忘れ物【青】 ページ14

「ーーとるん?」

すっかり本に没入していたところ、ドアが開き、

彼が話しながら近寄って来た気配がして顔を上げた。


「あ、終わった? ……!」

「何しとるん?」

彼だと思い込んでいたら、顔を上げたそこにいたのは、



ーーヤスくん、だった。

「ごめんなさいっ…」

慌ててイヤホンをはずして何故か咄嗟に謝り、胸まで隠していた布団を上げなおす。



「えっと…彼…は…?」

「煙草買いに行ったでー。初めまして、安田と言いますー」

「は、初めまして… あの、ごめんなさい、
たぶん私のことは見なかったことにしていただけると…」


「ははっ、無理やろぉ! なあなあ、何してたん?」

「えーと…本を、読んでました。あ、音楽も聴いてたんでお二人の会話は聴いてません!」


「ふーん、自分、名前なんていうん?」

ベッド脇に座り込んで、顔を覗き込みながら聞いてくるから、布団で顔を隠すしかできない。



「いや、忘れてください、ほんと、ごめんなさ…」





「…おい、何してるん!」

帰ってきた彼が慌てて寝室に駆け込んできた。



「ヤスおまっ、何やねんほんと…」

「ふはは、渋やん靴とか隠したんやろけど、これ寝室の前に落ちてたでー?」


手にしていたのは、よりにもよって、私の……下着だった。



「うわっ…ごめんなさい」

慌ててそれを奪い取る。もう、消えてなくなりたい…。



「ヤス、用済んだやろ、お前もう帰れ」

彼が大きく溜め息をつき、
心底困ったような顔を見せているから、
心臓がぎゅっとなる。


「ええやん、俺めっちゃこの子に興味あるわあ、肌キレーやなぁ、服着てええから向こうで話さん?」


「あかんよ」


「ええやん」




「あかん。そいつは…やらん」



そう言った彼は、相変わらず私のそばに座り込んだままのヤスくんの腕を掴み、無理矢理立たせようとする。





「ふーん… 珍しな…」



渋々立ち上がり部屋を出ようとしたヤスくんは、直前振り返り、



「名前だけ教えて?」

と尋ねた。




「…A…」


思わず答えた私に、とびきりの笑顔を見せた途端、ヤスくんはバシッと彼に頭を叩かれ、


そのまま引っ張って連れていかれた。

呼ばない名前【赤】→←突然の来訪者【赤】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (339 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
779人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

たまご(プロフ) - ぐさん» ぐさま、嬉しいお言葉ありがとうございます!なんとか第2幕も開幕しましたので、続きも楽しんで頂けるように頑張ります^ ^ (2018年1月3日 12時) (レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - めちゃさん» めちゃさま、コメントありがとうございます!すばるくんのセリフ気に入って頂けるの、すごく嬉しいです…幽霊、いいですよね…w 引き続きよろしくお願いします^ ^ (2018年1月3日 12時) (レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 初めまして。"既に投票済みです"となるのを分かっていても評価を押したくなるくらいこのお話が大好きです(*^◯^*)続きも楽しみにしています! (2018年1月3日 1時) (レス) id: 378be249b3 (このIDを非表示/違反報告)
めちゃ(プロフ) - すばるくんのセリフの一言一言が全部好きです 私も幽霊になりたい (2018年1月2日 18時) (レス) id: 2487310cb4 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - なつきさん» なつき様、ごめんなさい!続編設定、今解除しました。続きは準備中なので、もう少々お待ちいただけるとうれしいです! (2018年1月2日 17時) (レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:たまご | 作成日時:2017年12月22日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。