証 ページ39
「ん…。そーやったんやないかな、って思った…。」
渋「…証、残してくれやて。」
「…そっか、、」スゥッ…
「……。」フゥーーッ……
渋「……。」フーーーッ
それきり おれらは無言で。
二人してガードレールに寄っ掛かって、煙草をふかした。
しばらくそうした後。
深く吸い込んで、ふぅーっと大きく吐き出しながらジャリっと靴底で煙草を消した渋やんが、口を開いた。
渋「なぁ ヤス。」
「ん?」
渋やんは自分の人差し指を、耳の穴の軟骨に チョン と当てて。
渋「開けたろか、ここ。」
と、言った。
・
ジャラジャラ…
「えー、何で鍵まだ持ってんのー?」
渋「返し忘れやわ。ヒナが持ってんのはアイツが持ってたスペア。俺のが本鍵。」
「それ、アカンのんとちゃう?笑」
渋「俺は次の店顔パスっちゅーこっちゃな。笑」
渋「ほれ 座れ。」ガタン
「…ん、」カタン
カチャカチャ…
渋「ちょっと こそばいで。」
向かい合って目を閉じた。
耳の穴に暖かい渋やんの指先が何度か出入りして、おれの軟骨のサイズを確認する。
「……、」
フワンとアルコールの匂いと共にシュワっと冷たい感覚がしたあと、無機質な固いものが宛がわれて。
ー…カチン
トリガーがセットポジションに入ったのが解った。
「っ、、」
渋「…さて。」
渋「You Do not cry,boy.」
("泣くなよ、坊や。")
カチンときて目を開けると、挑発するように口角を上げた渋やん。
「Bullshit.」
("ナメんなよ")
お返しに舌を出したら、くしゃっと笑った。
直後、一瞬真顔になったと思ったら、ガチン!って大きな音と衝撃がおれを貫いた。
「っ、っ、、、」
渋「はいしゅーりょー。」
思わず声を失ったおれ。
平然と片付けをする渋やん。
衝撃と音が遠のくのも待たずに、ジンジンと身体中の熱がそこに集まって、心臓まで移動してきた。
そんな中、確かに聞こえた言葉。
渋「ずっと 聴いてるて。」
おれの頭の中で、もう一人の声がした。
"応援してるからね。"
"ずうっと、聴いてるからね。"
"頑張ってね。"
「……っ、、、」
"泣き虫坊や"になりたないと、奥歯めっちゃ噛み締めてたら、
渋やんに 笑われた。
悔しかったけど。
渋やんが グッシャグシャに笑ったから ええ事にしたるわ。
なぁ、Aさん。
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がくたん(プロフ) - 幸さん» そんなリアルエピソードも含め、やっぱり私にとっては特別な作品です。こんな妄想の言ってしまえば都合のいい拙い話なのに、読んで下さった方の背中に手を添えられているならこんなに嬉しい事はないです。こちらこそ本当に嬉しかったです、ありがとうございました! (2020年1月17日 6時) (レス) id: bb2764f922 (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - 幸さん» でも書き終えた直後に現実のヤスくんがアップした自撮り写真。そこに数年ぶりにトラガスが光っていて。何とも言えない運命みたいなものを勝手に感じて心がぎゅーっとなりました。そここらの彼の変革は皆さんご存知の通りですね(笑) (2020年1月17日 6時) (レス) id: bb2764f922 (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - 幸さん» 幸さん!こちらにも来てくださったんですね!ありがとうございます!何だかこそばゆくなるぐらいの熱い感想をいただいて恐縮しております。この作品は本当に自分の気持ちの整理の為にかなり攻めて書いた作品で、書いてる最中の心の葛藤もとても大きい作品でした。 (2020年1月17日 6時) (レス) id: bb2764f922 (このIDを非表示/違反報告)
幸 - がくたんさんの文才は、本当に素晴らしいものだと思います。あなたの作品に、何度も心が救われました。私の、宝物として。ずっと胸に刻んで、覚えておきます。私もがくたんさんのように、誰かの一生の思い出になるような、そんな何かを残せる人になります。ありがとう。 (2020年1月17日 0時) (レス) id: 295a9fdbac (このIDを非表示/違反報告)
幸 - もう、なんか…すごいです。こんなに感銘を受けた小説、初めてです。上辺だけの物語じゃなくて、そこにある人間らしさ、葛藤、全てにきちんと意味がある話で。奥が深く、一度では脳内で処理できず、4回読んでしまいました。生命力が深く感じられた作品でした。 (2020年1月17日 0時) (レス) id: 295a9fdbac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:がくたん | 作成日時:2018年7月19日 8時