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起きてしまった事件 ページ35

人気が出てきたとはいえ、まだまだライブやレコード店、ショッピングモールでのイベントが活動の中心。



用意された言葉を語り、練習した笑顔で、他人の歌を唄う。
虚飾にまみれた毎日。



それでも、"いつか 必ず" と。



渋やんは、夢と現実の間で必死に前を向いて孤独に戦っていた。


でも疲弊し、自分をギリギリ保ってる状態なのは明らかやった。



生きるために仕事をせなアカンかった信ちゃんや横ちょの代わりに、Aさんは渋やんにできる限りの時間をさいて寄り添っていた。
もちろん、ライブやイベントにも足しげく通った。



やけど、そんな事情を知らないファン達からすれば、Aさんはただの"彼女ヅラしてるウザイ奴"。


嫉妬の対象でしかない存在やった。




あるイベントの後、数名のファンがAさんを見つけて難癖をつけた。



薄暗い路地。ライブハウスの前で突如始まった女の子達の揉め事。
男達の怒号とは違う、キンキン響く金切り声。


金曜日の夜いうこともあって面白がる酔っぱらいや野次馬も集まって、ちょっとした騒ぎになった。



騒ぎを聞いて、マネージャーの静止を振り切って外に飛び出して行った渋やんが目にしたのは、
髪の毛を引っ張られ、もみくちゃにされているAさんやった。



躊躇することなく騒ぎの中に飛び込んでいった渋やん。
Aさんを庇う為に女の子達を引き離した。


その時、中にいたひとりがバランスを崩して転倒し、顔に傷をおってしまった。




勿論 不慮の事故なのは明らかで、相手が一方的に手を出していたという野次馬の証言もあって、被害届等の大事にはならず。
全国的な知名度が皆無に等しい事も幸いし、マスコミに取り上げられる事もなかった。




でも、所属タレントの恋愛騒ぎが発端でファンとの間に起きたトラブル。
イメージを大事にする事務所がこのまま黙殺する筈もなく。




夢は 閉ざされた。






「…そんな、、、」






村「…まぁ、駆け出しのアイドルなんてそんなモンやろ。」




村「実績や人気があるわけでもない、コネもあるわけでもない。」



村「吹けば簡単に飛んでまう存在って事や。」



村「自社のイメージ守る為やけど、治療費なんか払ってくれただけ有難い思わな。」




「……。」






村「それからや。すばるの右手。」



村「"どんなに着飾っても、どんなけ優れた容姿に恵まれてても、旨いモン食うて肥えても…"」



村「"ぜんぶ削ぎ落とせば 中身は一緒や。"ってな。」

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がくたん(プロフ) - 幸さん» そんなリアルエピソードも含め、やっぱり私にとっては特別な作品です。こんな妄想の言ってしまえば都合のいい拙い話なのに、読んで下さった方の背中に手を添えられているならこんなに嬉しい事はないです。こちらこそ本当に嬉しかったです、ありがとうございました! (2020年1月17日 6時) (レス) id: bb2764f922 (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - 幸さん» でも書き終えた直後に現実のヤスくんがアップした自撮り写真。そこに数年ぶりにトラガスが光っていて。何とも言えない運命みたいなものを勝手に感じて心がぎゅーっとなりました。そここらの彼の変革は皆さんご存知の通りですね(笑) (2020年1月17日 6時) (レス) id: bb2764f922 (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - 幸さん» 幸さん!こちらにも来てくださったんですね!ありがとうございます!何だかこそばゆくなるぐらいの熱い感想をいただいて恐縮しております。この作品は本当に自分の気持ちの整理の為にかなり攻めて書いた作品で、書いてる最中の心の葛藤もとても大きい作品でした。 (2020年1月17日 6時) (レス) id: bb2764f922 (このIDを非表示/違反報告)
- がくたんさんの文才は、本当に素晴らしいものだと思います。あなたの作品に、何度も心が救われました。私の、宝物として。ずっと胸に刻んで、覚えておきます。私もがくたんさんのように、誰かの一生の思い出になるような、そんな何かを残せる人になります。ありがとう。 (2020年1月17日 0時) (レス) id: 295a9fdbac (このIDを非表示/違反報告)
- もう、なんか…すごいです。こんなに感銘を受けた小説、初めてです。上辺だけの物語じゃなくて、そこにある人間らしさ、葛藤、全てにきちんと意味がある話で。奥が深く、一度では脳内で処理できず、4回読んでしまいました。生命力が深く感じられた作品でした。 (2020年1月17日 0時) (レス) id: 295a9fdbac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:がくたん | 作成日時:2018年7月19日 8時

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