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80話 ページ42

「………いえ、その、驚きはしましたが、こうやって遥々遠い所から会いに来てくださって、嬉しいです」

「そうか、なら、よかったよ。……2つほど提案があって、君に会いに来たんだ」

「何でしょうか」

「もし君が、会いたいと思うなら母親に会う事が出来る」



いや、


いやいやいや。


そんなの、会いたくないに決まってる。
母親?ふざけるな、勝手に僕を生んで、売り飛ばした人が、母親なわけないじゃないか。

僕の母親はこの世界で1人だけだ、あの人だけだ、歪んだ形であったけど、愛を注いでくれたのは母さんだけだ。


僕は首を振った。即答に近かったと思う。



「遠慮しておきます。自分には、その人が母親であるとは思えません。会いたいとも……思えません」

「……そうか、分かった。もう1ついいかな」

「はい」

「私と共にシーナに帰らないか?」

「えっ」

「急な事なのは分かっている。だが、私は君を家族として迎え入れたい」

「いや、でも、そちらの母親は」


そうだ、旦那の愛人との子が家族になるなんて。


「許可はもらってる、勿論母は喜んでの事だよ。どうだろうか」


どうだろうか、なんて。
それに関しても、答えはすぐに決められた。


「すみません、とても嬉しいですが、それも遠慮させていただきたく思います」


その言葉に、義兄は少しだけショックを受けたように顔を曇らせた。


「理由を…聞いてもいいかな…」

「…生みの親である女性もなんですが、実感が湧かないんです。その……貴方が兄である、ことも。だからプライスさんの家族になるという事も、受け入れられません。自分にはもう自分の……母親がいますし、家族みたいな友人もいます」


そうだ、母さんがいて、兄妹のようなロイドとリチェも、ビートも、ダンも。
僕には家族がいる。


「だから、ごめんなさい」


「そうか……ああ、そうだね。君にも、家族がいるんだ。それが分かって、よかったよ」


プライスさんは潔く僕の言葉を受け入れてくれた。
この数回の会話で分かることもある、この人は本当に僕の事を想ってくれてるんだ。
でなければこんな田舎には来ないし、家族になろうだなんて、そんなことも言わないはずだ。


「ありがとうございます。貴方にそう言っていただけて、本当に嬉しいです」

「………うん、うん、それならよかったよ、こちらこそありがとう、A」

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やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます、絵を褒めてもらえるのは嬉しいです!! かっこいいと言われて主人公くんも喜んでるはず!笑 (2018年7月10日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - イラスト拝見させて頂いたのですが、めっちゃかっこいいですね!絵がとてもお上手ですね (2018年7月10日 14時) (レス) id: bc0cb92646 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Rainさん» 嬉しいお言葉たくさんありがとうございます〜!マイペースに頑張っていくので宜しくお願いします!! (2018年7月2日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Rain - すっごく面白いです!!これからも頑張って下さい!応援してまーす!更新楽しみにしてます! (2018年7月1日 22時) (レス) id: e08e47c2f9 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます。コツコツ書いていくので今後とも宜しくお願いします(^O^) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やし野 | 作成日時:2018年3月31日 23時

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