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52話 ページ12

「どんな気分なんだろうって」

「俺が?」

「はい」

「落ち着いた気分」

「いつもは落ち着いてないんですか?」

「そうだな、あまりよくねぇ事ばかり考えてる」


そう言いながら彼は抱いていた肩から手をするりと離し、腕を回したまま頭を撫でてくれた。


「どうして?」

「そういう環境に居たからかもな、昔からの癖みてぇなもんだ」

「地下街にいた頃ですか?」

「ああ」

兵長が地下街にいた頃、どんな感じだったんだろう。
自分の中の記憶ではあそこは泥のように腐っていて、皆生きるのに必死なのか、よく泥棒や人殺しが頻繁にあった。

「調査兵団に入団する前はどんな暮らしでした?」

「仲間とつるんで盗みをやったり……まぁ、生きるのに必死だった」

「何だか想像つかないです、こんなに貴方は完璧なのに」

「完璧じゃねぇよ」


嘘だ。
貴方は完璧だ。


こんなにも強くて、格好良くて、人を救け、人類最強という肩書きまで持ってるんだから。

そう思いながら兵長を眺めていると、頭から手を離して僕の眉間を親指でぐいっと撫でた。


「ん?」

「皺寄ってんぞ」


気付かぬ間に顰めっ面になっていたようだ。
彼は伸ばすようにぐりぐりと眉間を撫でる、指が目に近くなると反射的に閉じてしまう。僕が「もう大丈夫ですよ」と言っても彼は「ん」と言うだけでやめようとはしない。
瞼を上から優しく指先で触れられる。


「兵長?」


目を閉じてることで彼の様子が伺えない。ひたすら優しく触れられて、くすぐったい。
うっすらまぶたを開けようとすると、


「そのまま」


彼のその言葉に反射的にまた目を閉じる。
項に手を回されかと思うと、

そのまま唇を押し付けられた。


「んン」


驚いて口が塞がったままのくぐもった声が出た。

唇から伝わるのは、少し冷たい彼の体温。
触れられる手は暖かいのに、どうも唇は冷たい。

触れるだけの、押し付け合う口付けで、何度か角度を変えてはまた優しく。

でも、それだけじゃなんだか物足りなかった。

存外自分は欲深いようで、前にしてくれたように、して欲しくて。

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やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます、絵を褒めてもらえるのは嬉しいです!! かっこいいと言われて主人公くんも喜んでるはず!笑 (2018年7月10日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - イラスト拝見させて頂いたのですが、めっちゃかっこいいですね!絵がとてもお上手ですね (2018年7月10日 14時) (レス) id: bc0cb92646 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Rainさん» 嬉しいお言葉たくさんありがとうございます〜!マイペースに頑張っていくので宜しくお願いします!! (2018年7月2日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Rain - すっごく面白いです!!これからも頑張って下さい!応援してまーす!更新楽しみにしてます! (2018年7月1日 22時) (レス) id: e08e47c2f9 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます。コツコツ書いていくので今後とも宜しくお願いします(^O^) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やし野 | 作成日時:2018年3月31日 23時

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