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25回目。 ページ25

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お昼を食べ終わり、保健室に戻る。

殺風景で誰もいない。
出張中のリカバリーガールの代理は暇で暇で仕方がない。

体育祭を終えて、ヒーロー科はもうすぐ職場体験があると聞いたが私達普通科は何のイベントもない。強いていえば期末テストだろうか。

机に頬杖をついて彼を待っていると、丁度タイミングが良くカラカラ、とドアが開いた。


「A」

「あ、轟さん。いらっしゃい」


保健室に行く、と言った彼は、案の定来てくれた。

緑谷くんは今日は来ないのかな。
期待しすぎだろうか。


「お前と少し話がしたかった」


そう言いながら、手前の椅子に座った。

美形の彼は何をしても絵になる。
なんだかその行動を自然とずっと眺めてしまった。

体育祭以降、反動でか彼は私に少しは心を開いてくれたようだ。
前より柔らかくなった雰囲気や表情。自然とそれは信頼を感じさせてくれる。


「単刀直入に聞いてもいいか?」

「?はい」


彼と向き合って座ると、真剣な目と焦点が合致した。



「お前、緑谷のもんなのか?」

「えぁ?」



真顔でそんなことを口にする。

変に漏れる気の抜けた声から一瞬間があって、それからブワッと、私の熱が上昇するのがわかった。


「どっ、どういうこと!?ですか!」

「?悪ぃ」


頬を抑えて下を向く。
まずい、絶対今めちゃくちゃ不細工だ。


「緑谷のことを妙に庇うとは思ったが。
やっぱそういう事だったのか」

「お父さんが気に入ってたからだよ」

「父親の伝なだけでそこまで肩入れしねぇだろ。」


ド正論。私も言い返せなくなる。

つい警戒心から敬語もうまく使えなくなって、平常心を保てなくなる。

悪い意味ではないが、信頼を解いてしまった彼に話すのは少し怖い気がした。
全てを知らないのなら、私が教えてはいけない。


「緑谷くんのこと聞きに来たの?」

「そうじゃない」


轟さんは首を振って、私と目を合わせる。

相変わらず、こんなに目が合って同じ時間、同じ場所にいるのに何も読めない。

すぅ、と彼は息を吸って、目線を落として言葉を零す。


お前にお願いがある、と小声で前振りをしたと思えば、急に肩を掴まれて全身が強ばる。

彼の珍しく焦った態度に、私はどうすればいいのかわからない。



「…俺のために、笑ってくれないか?」



口説き文句を言うような奴じゃないのに、彼は。





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三条つかさ(プロフ) - わわ!!久しぶりの更新凄く嬉しいです!!ご自分のペースで、これからも頑張ってください!! (7月16日 0時) (レス) id: 7ed1c475b4 (このIDを非表示/違反報告)
三香美あっぽー(プロフ) - こんなにものすごくドキドキ&キュンキュンする小説に初めて出会いました。更新頑張ってください!応援してます (6月24日 10時) (レス) id: e6931b9a32 (このIDを非表示/違反報告)
ひなポン - 最高です。ありがとうございます。最新頑張ってください。めっちゃめちゃ期待してます! (6月16日 8時) (レス) id: 1cc1b8057e (このIDを非表示/違反報告)
ほこりくん(プロフ) - ああもうだめです好きですありがとうございます。デクはもともと好きでしたがさらに好きになりました。更新待ってます!!!! (4月2日 22時) (レス) id: a558f985dc (このIDを非表示/違反報告)
水翠(プロフ) - 初めまして!この作品、とてもおもしろくてきゅんきゅんして大好きです!!コメントのレスは、一つ一つのコメントの一番最後の部分に(レス)って書いてあると思います!(コメントされた日付とかが書いてあるとこの近く)そこを押せば出来ますよ!これからも応援してます! (1月12日 9時) (レス) id: 063fb754ef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:八尋 | 作成日時:2017年10月12日 21時

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