15回目。 ページ15
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昔から何度か、父の繋がりで会ったことはあった。
けれどあまり良い印象はない。
『お前は治癒個性なのか。
父親に似なかったのだな』
遠回しに、的から外されたのだと思った。私が父の未来を継げないのなら、自分に託されたのだと喜んでいたのだ。
その終結が、恐らく息子の焦凍さんの存在だ。成功作である彼を使って、この人は緑谷くんにもどうこう言うのだろう。
「うちの焦凍をちゃんと見ていてくれ。いずれお前の父親を超える存在となるからな」
「…お父さんは、ずっとNo.1ヒーローですよ」
ぼそ、と呟いた言葉が、大きく響いたようだ。私を見下して、じっと見つめていた。
「緑谷、と言ったか。
彼は君の父親と何か関わりがあるのか?」
「し、…知らない」
怖くて、白衣の裾をぎゅっと握りしめた。この先この人が言うことも、何となく想像がつく。
問い詰めるように距離を詰められて、相手はヒーローだというのに威圧感がある。
「焦凍はオールマイトを超えなくてはならない。
そのためには、オールマイトに匹敵する少年を超えてもらうことが最低の義務だ。わかるか?」
肩に大きな手が置かれる。さっきから腕が震えている。個性のために切った傷もじんじんと痛みを増してきた。
「わかん…ない…」
でも口は勝手に動く。
「その概念がっ、焦凍さんを、緑谷くんを、追い詰めてるんじゃないんですか、…!?」
しまった、と思って口を抑えた。
やはり目の前のエンデヴァーは怒ったような顔をしていた。怖くてつい泣きそうになる。負けじと睨みつけると、肩は開放された。
その隙を逃さず、急いでその場を去る。
「お前はどっちに賭ける?焦凍か、オールマイトか」
背後から、かけられた言葉に。
「…オールマイトじゃない。
緑谷くんは緑谷くんです」
意地の悪い捨てしかできなかった。
走って、とにかくあの人から離れようと思った。
「…自分のことを後回しなところは、あの父親に似てるのだな」
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百合(プロフ) - オワリ...end......終..........ヘッ、おわり????嘘でしょ...お気に入りして一生更新待ってます..... (12月16日 4時) (レス) @page38 id: 587110230b (このIDを非表示/違反報告)
人未(プロフ) - 主人公さんが凄く魅力的で、緑谷くんとの関係も大好きです! (2023年3月12日 22時) (レス) id: 7a0cc58a20 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - あのもう終始にやけているのですが、これは神の領域の小説ですね。ありがとうございます。 (2021年8月14日 3時) (レス) id: 56fe7289ff (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - え???神ですか?あ、神ですね!( ´∀`)ハハハ好きです(唐突な愛の告白←) (2021年7月7日 19時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 凄いきゅんきゅんするとこで終わってる!!めっちゃいい所で終わってて心臓がキュッってなりました!笑 オールマイトの「あの二人脈アリなんじゃないか」のセリフちょっと面白い()更新待ってます! (2021年3月4日 0時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八尋 | 作成日時:2017年10月12日 21時