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2回目。 ページ2

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「最後の最後だったのに、こうもボロボロにして」

「う、うぅ…ごめん、」


さっきの授業で腕をボロボロにした緑谷くんが保健室に転がり込んできた。
四時間目の終わり。他の生徒は制服に着替えているところだろうか。

彼は、個性を受け継いでからというものの、保健室の常連だ。
父の言っていた『自損』の個性。鍛えたとはいえ、まだまだ使い慣れない限りは怪我からは逃れられないだろう。

リカバリーガールがいたら、きっとこっ酷く怒られる。父も一緒に。


「じゃあ治すから、袖できるだけ捲ってくれる?」

「うん、……あた、」

「あ、痛い!?ごめん、ちょっと待ってて」


私捲るね、と緑谷くんの服の袖に手を掛ける。
腕の皮膚は爛れて、たしかに本人に捲らせるのもキツそうだった。何でこうなるまで個性を使うんだか。

彼の鍛えた筋肉が手に当たる。それだけでどきどきしてしまう自分は下心が丸見えで正直気持ち悪いと思う。

気を紛らすように、棚から血液の入った小瓶をとって、手早く彼の腕に塗る。



「ちょっと待ってね、もう治るはず」



手を当てれば、腕はみるみるうちに元の状態に戻ってきた。


私の個性は『血液再生』。
自身の血液を塗った場所が完全に回復する。治癒力は膨大だが、自分に傷を付け血液を出さなければならないのが最大の欠点だ。

それを克服するため、保健室で週に2回、少量の血液を採取して小瓶に詰めて保管することになった。新鮮な方が効果は大きいのだが、毎度毎度傷を作るのも苦しい。

もうこの鉄の匂いにも、十分慣れてきた気がする。


「よし、治ったよ」

「いつもありがとう、Aさん」


彼はまた眩しい笑顔を向けた。
キラキラしていて、無理するなバカって、怒りたかったのにそれも出来なくて。

また紅潮し始める顔を覆って、下を向いて溜息を吐く。


「………あぁもう……ズルいなぁ………」

「?ごめんね、ちゃんと聞き取れなかった、」

「聞かなくていーの。」


それを聞いた緑谷くんは不思議そうな顔をして椅子を立った。そろそろ教室に戻るのだろう。体操服着替えなきゃだしね。


「Aさん、」


椅子に座ったまま彼の方を見る。


「お昼休み、来てもいい?」


緑谷くんはドアの前で、笑顔でこっちを見る。


「うん、」


だから、これ以上好きにさせないでってば。



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三条つかさ(プロフ) - わわ!!久しぶりの更新凄く嬉しいです!!ご自分のペースで、これからも頑張ってください!! (7月16日 0時) (レス) id: 7ed1c475b4 (このIDを非表示/違反報告)
三香美あっぽー(プロフ) - こんなにものすごくドキドキ&キュンキュンする小説に初めて出会いました。更新頑張ってください!応援してます (6月24日 10時) (レス) id: e6931b9a32 (このIDを非表示/違反報告)
ひなポン - 最高です。ありがとうございます。最新頑張ってください。めっちゃめちゃ期待してます! (6月16日 8時) (レス) id: 1cc1b8057e (このIDを非表示/違反報告)
ほこりくん(プロフ) - ああもうだめです好きですありがとうございます。デクはもともと好きでしたがさらに好きになりました。更新待ってます!!!! (4月2日 22時) (レス) id: a558f985dc (このIDを非表示/違反報告)
水翠(プロフ) - 初めまして!この作品、とてもおもしろくてきゅんきゅんして大好きです!!コメントのレスは、一つ一つのコメントの一番最後の部分に(レス)って書いてあると思います!(コメントされた日付とかが書いてあるとこの近く)そこを押せば出来ますよ!これからも応援してます! (1月12日 9時) (レス) id: 063fb754ef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:八尋 | 作成日時:2017年10月12日 21時

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