友達という名の主従関係 ページ7
「ま、まさか…」
ぎこち無い動きで恐る恐る右手に視界を移すとそこには青い炎の紋様が浮かんでいた
チラと見ればアルトにも同様の紋様が浮かんでいた
ルシアは顔を更に青く染めて大声で叫んだ
「しまったぁぁぁぁぁぁ!」
その紋様は人間と悪魔の主従関係が締結された証であり、主に用心棒としての契約だったり、下僕としてこき扱う上での契約等の締結時に互いに浮かびあがるもの
そしてこの関係になった場合
悪魔と人間の魂は一つとなりどちらかが死ねば両方死ぬ上に片時も側を離れられない状態になる
その距離は半径10m程
しかし魔界に帰るには遠い
つまり、アルトを連れて行かなくてはならないという事だ
「なんて事だ…私とした事がぁ…!不幸な境遇下なのだから願う強さも相当のものだとは思ったがまさかここまでとは…!魔界の支配者たる私が人間如きの下僕になるなど…!しくじった…盛大にしくじった…!」
主従契約はその人間が寿命を全うして死ぬまで続く
よって代償も死亡時に受け取る事になるのだがそこまでのものを望めそうにもない
だいたい死後その人間の周りにいた者からちまちま奪ったり生前積み上げた成果を全て台無しにする等というものだからだ
無論アルトにもとが取れる程のものは期待出来そうにない
唯一の救いは他と短期契約(物や殺しを願うもの)している時は離れられるという物だがそれも一瞬で終わるだろう
アルトは未だニコニコと笑顔でルシアを見つめている
それを見てルシアはもうどうしようもないと受け入れた
否、諦めた
「分かった…契約は締結された。今後お前を友人として扱い、共にあることを約束しよう…」
半ば投げやりにそう言うとアルトはいっそう目を輝かせ、ルシアに抱きついた
「ばっ!コラやめろバカ!」
そういうもののアルトはやめようとはしない
傷つける訳にもいかない
傷つけたら力加減を間違えて殺してしまいかねないからだ
ルシアは盛大に溜息をついた
(さて、これからどうしたものか…)
(魔界での公務は夜やっている…こいつの世話を夜こちらが引き受けなくてはならないとなると支障が出るだろう…それに配下の者たちにも旨を伝えなければならない。うるさくなる事は必至…それに朝昼はアルトが村の手伝いを半強制的にやらされている事を考えれば朝昼は確実に現世で過ごさなくてはならないだろう…)
ルシアが悶々と考えている中ぐぅーっと間抜けな音が鳴った
勿論ルシアのものではなく見るとアルトが照れ臭そうにお腹を擦っていた
ルシアはまたも盛大に溜息をついたのだった
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闇鍋ソース(プロフ) - ナイフさん» ありがとうございます!今後も作る機会があれば続きを書きますのでよろしくお願いいたします (2019年8月17日 1時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
ナイフ(プロフ) - シリアスとギャグの使い分けがとても巧で、あっという間に最後まで読んでしまいました。とても面白かったです……。素敵な作品をありがとうございます。 (2019年8月16日 23時) (レス) id: db7c72b981 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - いちごシロップさん» コメントありがとうございます!頑張らせて頂きます! (2019年5月2日 2時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
いちごシロップ - 悪魔と人間が友達になる、って冒頭からほっこりしちゃいました。でもシリアスな場面もあって…。とにかくとても面白いです!これからも頑張ってください! (2019年5月1日 23時) (レス) id: 99dc49cbe7 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - まゆみさん» 人外×人間が大好きなんですよ…! (2019年3月31日 19時) (レス) id: 32007db41f (このIDを非表示/違反報告)
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