断罪の焔 ページ32
「遅れたわ。ほら、念のため杭持ってきたぜ。」
入ってきたのは村人
その村人もまた嫌な笑みを浮かべている
アルトは涙と腫れで霞む視界
痛みで動かぬ体にもう何もできなかった
しかしその心に絶望はない
寧ろ光がさした
口角がUの字に上がる
この男達はここぞとばかりにやらかしたのだ
今なぶっている獲物に憑いている絶対なる覇者を呼び起こす行為
そう
アルトの背後に、ほんの少しだけ影が射した
ゴォォォォ
「な、なんだぁ!?」
あっという間に辺りは青い炎で包まれた
その炎は小屋を、男達を焼き、月の光がアルトを照らす
それは彼の影を大きく作り出し、その影よりも背の高い何かがユラリと浮き上がる
それは徐々に体を形成し、やがて純白のスーツに身を包んだ悪魔となった
悪魔…ルシアはアルトをそっと抱き上げた
その腕は優しく、アルトを包み込んだ
無事を確認したルシアは白眼を黒く染め、夜闇の様な漆黒の瞳に青き焔を灯らせると男達を睨んだ
「ひ、ひぃ!」
その鋭い眼光にいぬかれ、男達は腰を抜かす
いつぞやの餓鬼と同じ反応にルシアはフッと笑みをこぼす
大きな翼で飛び上がり、男達を見下ろすと忌々しげに眉を潜めた
「愚かなる人間共…我が契約者に対する愚行、万死に値する…だが私は寛大なのだ。選ばせてやろう。このまま焼け死ぬか、貴様等が行った様に殴打されて死ぬか!」
ルシアがスカルを翳せば先程まで転がっていた棍棒が青い光に淡く輝きながら浮かぶ
男達は超常現象に驚くよりも自分達に死が近づいていることにただただ怯えた
一人が叫ぶ
「い、いやだ…そんなの…選べるわけが…!」
「なんだ?両方をご所望か?欲深い奴め…」
「違う!お、オレだけで良い!命だけは助けてくれ!」
「オイテメ!俺を助けてくれ!」
「いや俺を!」
皆が一概に同じ事を言う
己が助かればそれで良い
皆が歪み合い蹴落とし合う
いつものルシアならばここで殺しあいをさせて最後に残った一人を四肢爆散させ、ジワジワと死んでいく様をじっくり愉快に眺めただろうがそんな余裕は今の彼女にはなかった
己の手で、惨たらしく殺さなければ気が済まなかった
「何と無様で滑稽な事だろう…だが、私は今機嫌がすこぶる悪いのだ。それは、貴様らが引き起こしたに他ならない…折角選ばせてやったと言うのに…もう良い。己の行いを恥ながら精々苦しんで死ぬがいい…!」
ルシアは左手を高々と掲げると炎を作り出した
それは天高く浮かぶ月よりも巨大で禍々しく燃え盛る
男達の恐怖は頂点に達していた
ルシアはその表情に口角をつり上げる
「死ね」
巨大な炎が男達に降り下ろされた
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闇鍋ソース(プロフ) - ナイフさん» ありがとうございます!今後も作る機会があれば続きを書きますのでよろしくお願いいたします (2019年8月17日 1時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
ナイフ(プロフ) - シリアスとギャグの使い分けがとても巧で、あっという間に最後まで読んでしまいました。とても面白かったです……。素敵な作品をありがとうございます。 (2019年8月16日 23時) (レス) id: db7c72b981 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - いちごシロップさん» コメントありがとうございます!頑張らせて頂きます! (2019年5月2日 2時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
いちごシロップ - 悪魔と人間が友達になる、って冒頭からほっこりしちゃいました。でもシリアスな場面もあって…。とにかくとても面白いです!これからも頑張ってください! (2019年5月1日 23時) (レス) id: 99dc49cbe7 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - まゆみさん» 人外×人間が大好きなんですよ…! (2019年3月31日 19時) (レス) id: 32007db41f (このIDを非表示/違反報告)
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