(58)独りぼっち ページ17
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『はぁ…終わった…』
「お疲れ様」
『お互いにね』
2人が労いの言葉をかけるのと国木田が屋上に着くのとは同時だった。
夫人は既に絶命し、静かに横たわっている。
「何があった貴様ら……殺したのか?」
未だに柵の上に居るAも亡骸の横に立つ太宰も"普通の顔"をしていて国木田は酷い困惑を覚えた。
『国木田さん、』
「何だ。悪いが先に説明を…」
『ありがとう、私の為に。きっと私は此の恩を仇で返すだろうが許してほしい』
「…何を云っている?」
国木田の質問を無視して、Aは続けた。
『…クソ太宰』
「君、其れが恩人に対する態度なの?」
『五月蝿い。……ありがとう、助かった』
「フフ、素直な君は気持ち悪いね」
『黙れ、裂くぞ』
途端に低い声でそう云ったAに、太宰は近付いていく。
そして、
「……さっきのは暗号なんかじゃない」
『え?聞こえないからもっと大きい声で……!!?』
「?!、何をしている太宰!!!」
____Aの肩を押した。
『っ、あのやろ…うぐっ!!』
空中に投げ出されるなり頭痛に襲われ、Aはまだクスリが切れていなかったのを思い出した。
『っ……』
今見ているのは俗に云う"走馬灯"だろうか。
其れとも、クスリのせいで見えているのか。
_____________……
「…異能力の
『そう…だから誰とも会いたくないの。太宰くんもアッチに行ってて』
「……そうだ。じゃあ、こうしよう」
『え…?…ちょ、』
「私と手を繋いでいれば、異能は発動されない。これからは何時もこうしていよう!」
『……うん!』
……____________
「あっぶねぇ……良かった…間に合って」
「ナイスキャッチだね立原君」
「梶井殿、巫山戯ていないで早く解毒剤を」
小さく変わって落ちてきたAの身体ををしっかり立原が抱えた。
側に居るのは黒蜥蜴の面々と樋口だ。
『う…』
「!Aさん…!!」
「!!」
目を開いたAの瞳に、涙目の樋口と銀が映った。
『フッ、ハハ……』
突然笑ったAに周りの者は驚く。
『ほら…昔も今も私は、独りぼっちなんかじゃ…ないじゃないかっ…』
震える音で零れた言葉に広津以外の者は何の事かと首を傾げた。
「…彼も帰ってきている。早く連れて帰ろう」
Aの目にはうっすら涙が滲み、その口元は綻んでいた。
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ヤマダノオロチ(プロフ) - Yuukiさん» ありがとうございます!やっと構想がまとまってきました。これからもよろしくお願い致します! (2017年2月18日 23時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
Yuuki(プロフ) - とても面白かったです!スランプで大変だと思いますが、これからも頑張ってください!応援してます!! (2017年2月18日 23時) (レス) id: 3720d37733 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - 天さんさん» コメントありがとうございます!上から目線だなんてそんな事無いですよ!?お褒めに預かり光栄です(>_<)最近はラブソングばっか聴いてて、主と中也くっつけたい〜とか考えてます(笑)これからも頑張ります! (2017年2月14日 20時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
天さん - う、上から目線で失礼しましたぁああッ!! (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
天さん - スランプ大変ですよね…文章とか読みやすくて好きです!頑張ってください(*´ω`*)ちなみに、私はスランプの時は曲を聞いてます。曲聞いてるとネタがポンポン出てきますので…!これからも応援してます(´˘`*) (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2016年9月4日 20時